


2001.05.05 創刊


(02-10) 気は呼吸する
気を吐くツボ, 気を吸うツボ (No.26)
2002.05.24
【肺呼吸】
一般に呼吸といえば, 酸素を吸って二酸化炭素を吐く, 体内のガス交換のこと
を指しているが, 「気」もまた同様に別のチヤンネルを使って呼吸をしている。
そのガス交換としての呼吸にも, 肺呼吸と皮膚呼吸の二つがある。肺で行われ
る呼吸では, 喉の気管から気管支が左右の肺に入り, 細かく枝分かれして最先
端にブドウ状になった肺胞で行われる。この3億個もの肺胞に接して, 肺胞毛
細血管が走っている。肺胞の壁は薄いので, 毛細血管内の二酸化炭素を肺胞に
放出し, 肺胞から酸素を採り入れ, 新鮮な血液を体内に巡らすことができる。
ここでの主役が血液中の赤血球に含まれるヘモグロビンである。ヘモグロビン
は, 酸素の濃いところでは酸素と結合し, 逆に薄いところでは酸素を放出する
とい性質がある。またヘモグロビンは, 二酸化炭素に対しても同様な性質があ
るため, ガス交換がスムースに行われるのである。人間の身体というのはまこ
とに優れものである, とつくづく感心させられる。
【皮膚呼吸】
もう一つの皮膚呼吸は, 皮膚の細胞から二酸化炭素が外気へ放出され, 外気か
ら皮膚の細胞へ酸素が採り入れられることで成立している。この皮膚呼吸をす
る器官が, 皮膚呼吸孔である。だだ皮膚面積は, 60〜70平方メートルもある肺
胞の表面積に較べて小さいため, 全呼吸量のわずか0.6%にしか過ぎないと
いう。ところで, 皮膚呼吸に全面的に依存している生物は, ミミズやヒルなど
の比較的原始的な環形動物である。次いで, カエルなどの両生類になると, 肺
呼吸だけでは不足するので,相当量の皮膚呼吸も行っている。ということは,
人間のこの皮膚呼吸なるものは, 細胞や脳と同じように, 生命進化の過程で生
まれた古い痕跡を今に残していると言えるのではないか。人間は, 生物界の特
別な種ではなく, 原始的な生命を内包させながら進化させてきたヒト科なので
ある。人間は自分の身体の中に, はるかかなたの原始生命を宿しつつ, 共生し
ながら生きているのである。このように見てくると, 気功のトレーニングを通
じて現われる不思議な現象も, また潜在能力の開発もそんなに突拍子もないこ
とではないと思えてくる。
【気の肺呼吸】
それでは「気」の呼吸とはいかなるものか。気の呼吸は, ガス交換の呼吸と同
様に, 肺呼吸と皮膚呼吸に近い働きをしている。「第2章(07)採気」で書い
たように, 気には「先天の気」と「後天の気」があり, 「後天の気」は, 出生
後に得られる生命の材料で, これには「飲食物の気」と「外気」があった。外
気とは, 自然の中に広く分布し, 別名「清気」と呼ばれている。気の呼吸とは
この清気を体内に採り入れることに他ならない。
その一つ, 気の肺呼吸は, まず自然界の「清気」を鼻から採り入れ, 喉を経由
して胸に収めることから始まる。しかし, このままでは「清気」は, 栄養分と
なって人体を養う内気には転化しない。内気となるには, 「清気」が飲食物の
養分と合成される必要がある。天の気である「清気」と, 地の気である「飲食
物の養分」が合成され, そして最初に生成されたものを「宗気」と呼ぶ。こ
の宗気は, いったんは胸中に集積される。そのため, 胸中(だん中穴)を「気
の海」という。このように書いてくると, 中医学理論の写しではないかと, い
ぶかる読者もいることだろう。しかし, 練功を重ね熟練度を高めていくと「だ
ん中穴」から猛烈に噴き出している気の流れが分かる。「だん中穴」は, 身体
のどこよりも反応が強く「気の海」という言葉が実感できる。極めた人は, 手
を使わずに「だん中穴」で治療するもできるのである。
【ツボの気呼吸】
他方, 気の皮膚呼吸は, どのような器官を介して行われるのであろうか。気の
皮膚呼吸は, ガスの交換のように皮膚細胞で行うのではない。人体には, 気血
の通り道である十二正経と奇経八脈が走り, その経絡上に365の経穴があると
される。気の皮膚呼吸は, この経穴いわゆる「ツボ」を通して行われる。経絡
とツボの関係でいえば, 経絡は人体内部の五臓六腑と体表をを結び, そしてツ
ボは経絡が外部に開かれた門戸である。五臓六腑に故障があれば, まず経穴
(十二原穴)に変化が現われるし, 反対に邪気は, 経穴から経絡内に侵入し,
気血の流れを渋滞させる。ツボは, 内気と外気の出入交流の窓口なのである。
そのような意味で気の皮膚呼吸は, ツボを介して行われているのである。
さて気呼吸するツボであるが, すべて同じ働きをしているわけではない。ツボ
には, 外気を採り入れることを得意とする吸気系のツボと, 内気を出すのを得
意とする呼気系のツボがある。なかには「労球穴」のように, 宮本武蔵のごと
き二刀流の使い手もいる。気功治療は, 自分の呼気系のツボから, 相手の吸気
系のツボへ向けて発気することで成り立っている。ツボの性質を知らないで,
気功治療はできないのである。
*** 会員からのメッセージ ********************
『人が動き出しました』
『バーチャル気功道場の「内気功コース」を終了したKSです。先日, 送られ
れてきた導引法を早速, 試してみました。二, 三人の人に動くかどうか気を送
ったところ, 一人だけですが少し動き出しました。すごい感激です。テレビで
実演している気功師には, いつも半信半疑な思いでいましたが, 本当に気で人
は動くのですね。スーパーマンになったようで気分で舞い上がっています。生
きる自信にもなります。感謝しています。』(神戸 K.Sさん♂)
『動画配信を望む』
『バーチャル気功道場の公開当時からの会員です。当道場の良い点は, 疑問や質
問について初心者に分かるように丁寧に答えてくれることです。それも, 次の
日には必ず返信が届いています。これは大変助かります。練功中に変な反応が
出ると一人でやっているだけにとても不安になります。インターネットの利点
をよく生かしていると思います。また当時と比べると, 大変充実してきたよう
にも見えます。写真による姿勢の修正は, 会員の力強い味方になってくれます
し, 自己保健法の配信は, 身体に故障のある者にとっては嬉しいかぎりです。
さらに欲をいえば, 動画での配信を望みたいのですが, いかがなものでしょう
か』(千葉 U.Tさん♂)
※倶楽部より一言
大変なお褒めを頂き恐縮しています。疑問や質問については, これからも出
来る限り丁寧に答えていくつもりです。よろしくお願い致します。動画の件
ですが, ブロードバンドの普及率は, 日本ではまだ10%です。韓国のよう
に50%も普及すれば可能でしょうが, 日本では時期早尚と思われます。当
面は静止画で我慢して下さい。いずれその時期がきたらやるつもりです。
** 購読者コーナ ************************
□質問□
『会員や読者の声を読んでいると, 私も気功をやってみたくなります。私も不
思議な体験をしたい。恋人を抱いている感じってどんなもんなのでしょうか。
運動をあまりしたことのない私でも続けられるでしようか。心配です。』
(O.Tさん)
■答え■
この気功は, 腰の高さの調整一つで, 修行のように「きつく」することもでき
ますし, また「楽ちん」にもできます。さらには, イス式も用意されているの
で心配することはないと思います。ただし, 不思議な体験というのは, 求める
ものではなくて, 結果として生じるものです。
※気功やこのメルマガの内容に関して, ご意見やご質問がありましたら, 是非
お寄せ下さい。お待ちしています。
Email aam13920@nyc.odn.ne.jp 編集 森澤陽子(准指導員)
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【バーチャル気功空間 気の世界】隔週
発行元: 日本気功倶楽部
監 修: 天地 一道
編 集: 森澤 陽子
※「バーチャル気功空間 気の世界」に掲載された内容を無断で複写、転載、転送および引用することを禁止いたします。なお、お友達の方へ紹介の為の転送は大歓迎です。
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■私の気功の世界■
ネット通信教育 「一指禅功日本 バーチャル気功道場」
http://issizen.michikusa.jp/
「一指禅功日本 東京・小岩リアル気功教室」
http://katutoshinamiki.suichu-ka.com/
YouTube 「一指禅功秘術 吊手術」
https://www.youtube.com/watch?v=W5J6RmbjpQI&feature=youtu.be
Twitter 「連載 気を考える」
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■私の趣味の世界■
すまい&町並み 今昔物語
「第一章東京下町風景への旅」
「第二章同潤会アパートへの旅」
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