藤岡 正巳
(10) 三調技術
調身 臥式, 座式, 立式 (その2)
【 「対称性站椿」と「非対称性站椿」 】
一指禅功は, 功法の種類が五百余種あると言われているように, 練功するときの姿
勢も多種多様です。姿勢の形から「対称性站椿」と「非対称性站椿」に区別されまし
たが, 「対称性站椿」とは, 左右の足の形が同じもので, かつ体重を均等にかけるもの
です。内気功の段階では, この形がほとんどです。初心者では, この姿勢でも大腿四
頭筋が鍛えられて, 慣れてくるまでは, 脚が震えが止まらないことでしょう。私も気功
を始めた頃は, 運動不足だったので, 三ヶ月間ほどは辛いおもいをしたものです。馬
歩椿に慣れてくると, 嘘のようになんでもなくなります。この姿勢に慣れるかどうかが
一指禅功の第一の関門です。外気功に入ると, 労宮穴を鍛える「竜形椿」というのが
ありますが,これなどは 「非対称性站椿」ということになります。「竜形椿」は, 前の足
は爪先だけで立つ「虚歩」の姿勢で, 後ろの足に体重のほとんどをかけます。片足に
全体重をかけるわけですから, 他人からは辛いように思われますが, すでに太腿は馬
歩椿で鍛えられているので, 左程でもありません。
【 「静站椿」と「動站椿」 】
また, 動きの有無によって, 「静站椿」と「動站椿」の区別がありましたが, 一指禅功で
は, 「静站椿」は, 入門の最初に行う「馬歩站椿功」と, 練功の前後に行う「馬歩椿」
だけです。それ以外はすべて, 「動站椿」です。一般的な「動站椿」は站椿の姿勢で両
腕を身体の前に突き出して, 向かい合わせにした手の平を, 左右上下に開いたり, 閉
じたりするような単純な動きです。一指禅功にも, 内気功の初期の段階では, 「双手
抱球功」と云って, こうした単純な動作を繰り返えす功法もあります。しかしながら,
一指禅功の鍛錬には, 内気を強化する二つの独特の方法があります。その一つが,
指を指定された順番に降ろす「手指按動法」と呼ばれる方法です。もう一つは,
自分
の内気を発して, その気を身体の別のツボに送り込み, 気血循環を促す方法です。ど
ちらも高い効果があります。
【 「動站椿」 「手指按動法」 】
「手指按動法」は, 指定された順番に指を降ろしていくもので, その降ろす順番によっ
て, 期待される効果が違います。「手指按動法」がどのようにメカニズムになっている
かは, 十二正経という経絡を考えると納得していただけるように思います。十二正経
は, 身体の腹側内側を走る「陰経」と, 背側外側を走る「陽経」に大別されます。さら
に, 上半身を巡る六本の経絡と, 下半身を巡る六本の経絡に分けられます。十二正経
は, 陰経と陽経, 上半身と下半身の位置関係から十二の経絡で構成されることにな
ります。気功との関係で注目すべき事は, この十二の経絡がすべて, 手足の指のツボ
を起点としていることです。
「手指按動法」は, 五指を順番に降ろすことで, 十二正経
を刺激するのです。指先は十二正経の起点であり, 指を降ろすことで, 経絡に直接的で
強烈な刺激を与えるのです。たとえば, 陰経の気だけを流したい場合には, ある順番
で陰経が通る指だけを降ろし, 逆に陽経の気だけを流したいのであれば, 陽経が通る
指を降ろすのです。これが「手指按動法」の仕組みです。一指禅功では, この「手指
按動法」が潜在能力の開発だけでなく, 病気別の治療法としても多数
存在しています。
【 「動站椿」 「内気をツボに送る」 】
同じ「動站椿」でも, 「手指按動法」が指を順番に降ろすことで, 経絡を刺激するのに対し
て, 自分の内気を身体の別のツボに送る方法は, より直接的な効果があります。内
気を送る側の部
位は, 手の平のあるツボから送ることもあるが, 多くは指先から発功させます。指先か
ら発功させた内気を受け取る側の部位は, 多種多様ですが, 主に手を含めた腕の中に
あるツボということになります。特に, 手の平の中央にある労宮穴は, 外気を受け取ると
きのツボとして使われることが多く, 最も敏感な部位と言えます。考えてみると, 「内気
をツボに送る」この方法は, 自分の気を使って, 自分の気を流すのですから, 特殊な
方法に違いありません。身体の内にあるときは「内気」と呼ばれますが, いったん内
気が体外に出た場合には, 「外気」(離体的内気)となります。つまり, 「内気をツボに
送る」方法は, 外気治療をしているのと同じことになります。一指禅功では, 練功して
いる間に, すでにさかんに内気外発が行われていることを意味しています。
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【やさしい気功のミニ講座】
発行元: 日本気功倶楽部
監 修: 藤岡 正巳 (主席指導員)
編 集: 正田 竜二
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