藤岡 正巳
(09) 三調技術
調身 臥式, 座式, 立式 (その1)
【 三調技術とは 調身・調息・調心 】
気功の入門書を読むと, よく目にするものに三調技術というものがあります。三調技
術とは「調身・調息・調心」の三つを指し, 「調身」は正しい姿勢と動作, 「調息」は呼吸
法, 「調心(意念)」は意識の持ち方です。一般的にはどの流派も, 調身・調息・調心の
三つの組み合わせによって気功のトレーニング法(功法)が作られています。姿勢・
呼吸・意念が, 気功の三要素ということになります。このうち, 調身は練功するのに適
した正しい姿勢のことであり, これによって気血を調和させ経絡の流れを促進させる
ことができます。このように, 調身は三調技術の基礎であり, 一般的には, これをベ
ースとして調息と調心が加わり, 功法が成り立っているのです。ところが, 一指禅功で
は, 調身だけに重きが置かれ, 調息と調心は通常では使われることがないのです。
【 一指禅功の調身 】
一指禅功は, 極端な言い方をすれば, 調身だけの気功です。調息に関しては, 練功
の終了時に行う 「収功」のときのみ, 鼻から吸い, 口から吐く呼吸法を用いるだけです。
他方, 調心の方は, 特殊な場面を除いては使われることはありません。通常の練功の
時だけでなく, 外気治療のときでさえ, 意念を用いることがないのです。一指禅功は,
意念を用いて発功(内気外発)すると, かえってパワーが落ちてしまうのです。片手に
コーヒーカップを持ちながらでも, 外気治療が可能なのが一指禅功なのです。そんな
わけで, 三調技術の中の調身だけについて触れてみたいと思います。一般的に調身
には, 横たわった姿勢の「臥式」, 座った姿勢の「座式」, そして立った姿勢の「立式」が
あります。一指禅功は, このうち「立式」が基本ですが, 「臥式」や「座式」もあります。
【 立式 站椿 】
立式は, 気功では「站椿」と呼ばれ, この名称は武術からきたものと云われています。
站椿には, いろいろな種類がりますが, 腰の高さによって, 「高位站椿」, 「中位站椿」
「低位站椿」の区別があり, 姿勢の形によって, 「対称性站椿」と「非対称性站椿」が
あり, 動きの有無によって「静站椿」と「動站椿」があります。また, 特殊な站椿として
は, 片足立ちで行う「内勁一指禅」や, 歩を前に進める「行歩功」などもあります。この
うち, 腰の高さによる区別が最も一般的であり, 「高位站椿」は, 膝をほんの少し曲げ
る姿勢で行い, 「内養功」や「松静功」などの医療気功や保健気功に用いられていま
す。「中位站椿」は, 太腿と脛の角度が45度ほどに曲げる姿勢ですが, 膝が爪先を
出てはいけません。「低位站椿」は, 一般的には「馬歩站椿」とも呼ばれ, 太腿と脛の
角度が90度となるよう要求されます。かなりキツイ姿勢です。
【 立式 站椿 】
一指禅功では, 腰の高さによる区別は特になく, すべて「馬歩站椿」と呼ばれ, 腰の高
さは各個人の事情にまかされています。実際には, 「高位站椿」よりも「中位站椿」の
方が, 「中位站椿」よりも「低位站椿」の方が効果は高くなっています。しかし練功の
際に, 歯を食いしばるほどに無理に腰を低くするより, リラックスできるほどの姿勢で練
功した方が効果は高いのです。腰を低くして練功時間を短くするより, 腰を高くして長
く練功する方が効果的です。練功に慣れ, 太腿が鍛えられてきたら, 除々に腰を低く
すればよいのです。内気は, 練功する度に少しずつ体内に蓄えられていくもので, 腰
を低くして練功したからといって, すぐに充実してくるわけではありません。気功という
のは, やはり継続が一番です。
〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓
【やさしい気功のミニ講座】
発行元: 日本気功倶楽部
監 修: 藤岡 正巳 (主席指導員)
編 集: 正田 竜二
※「やさしい気功のミニ講座」に掲載された内容を無断で複写、転載、転送および引用することを禁止いたします。記事の内容は, 著作権法で保護されています。なお、お友達の方へ紹介の為の転送は大歓迎です。
〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓