藤岡 正巳


(07)気功の種類
 
硬気功, 軟気功, 外気功, 内気功, 動功, 静功





【 「硬気功」=「武術気功」 】
   

   最初に, 気功の入門書であれば必ず書かれている「気功の種類」について, そ

   のアウトラインから触れたいと思います。気功の種類には, 大きく分けて「硬

   気功」と「軟気功」があります。「硬気功」は, 一般に「武術気功」とも呼ば

   れ,相手から自分の身を守る守備能力と, 相手を倒す攻撃能力を向上させるこ

   とを主な目的としています。また「武術気功」の中には, テレビで見た方も多

   いと思いますが, 全身の「気」を咽喉や人差指の一点に集め, 肉体を鋼鉄のよ

   うに硬くすることもできます。痩せこけた風采のあがりそうもない男が, 人差

   指一本で小石をこなごなに砕くシーンに出会うと, この人はスーパーマンでは

   ないかと驚くことでしょう。頭でレンガを割ったり, 咽喉元に尖った槍の先を

   突き刺してみたりと荒技は続きます。それと較べると, 蹴りで板を割る空手の

   表演は, 鍛えれば誰にでもできそうだと思わせるものがあります。板をバーム

    クーヘンのような「正目」ではなく, 波の模様のある「板目」に代えたら,すごい

    と思うのですが。一指禅功には, 「硬気功」と「軟気功」の両方がありま すが,

    「バーチャル気功道場」は, 「軟気功」で, 「硬気功」は扱っていません。「武術

     気功」は,そのトレーニングの過程で, 体力の増強や精神力の強化などを養う

ことはありますが, 医療とは直接的な関係はもっていません。
   


   
【 「軟気功」=「医療気功」 】 

   
   それに対して「軟気功」は, 「医療気功」とも呼ばれ, 病気の予防や治療の能

   力を強化することを目的としています。身体内の気血の流れを促進させ, 陰陽

   のバランスをとることで, 病があればその部位を改善させ, 病がなければ健康

   を維持促進させて,長寿を実践する健康法ということができます。この「軟気

   功」は, さらに「内気功」と「外気功」に分けられます。「内気功」は, 自分の健

  康の維持と病気の回復を目的として, 内気を養う自己の訓練法です。「外気
    
   功」は, 「内気功」で養った内気を, さらに一層強化して体外に外発させ, 他人

   の病気を治療する鍛錬法です。どの流派でも, まずは「内気功」で内気を養っ

     てから, 次に「外気功」の鍛錬に入ります。一指禅功には, もちろん「内気功」と

    「外気功」の両方がありますが, 「内気功」の場合には, 病気の回復が早いと
 
いう特徴があります。


    これらの目的に沿って, 具体的に行われる鍛錬法に「静功」と「動功」がありま

    す。「静功」は, 身体の動きが伴わないので「内功」とも呼ばれ, 主に呼吸と意
 
    念で「内気」を運行させます。外見からは動きのない, 臥・座・立の「静の姿勢」
 
    でありながら, 身体の内部では内気が激しく動いているので「静中動」の功法と

     も云われています。「動功」は, 動作が外に現れるので「外功」とも呼ばれ, 呼

     吸と意念に合わせて動作を行い, 「内気」を運行させます。これに按摩やマッ

     サージなどによる「按法」が加わります。一指禅功では, 馬歩椿のまま下半身
 
     を動かすことなく, 腕や指だけを動かすだけなので, 「静功」と「動功」の折衷型

と云えそうです。



  
【 「内気功」すべての基本 】  
   
   
   以上が気功の入門書に書かれている, 教科書的な「気功の種類」について

   の解説です。この解説は, 気功を外から客観的に見ている点で分かり易い

    のですが, これを練功者の視点から見直すと, 事情は大部違ったものになり

     ます。「バーチャ気功道場」に,病人の方が入会されたとして,病気を克服す

     るにはどのような方法があるのか, その予防法や治療法の種類から見てい

     きたいと思います。病人方が入会して, 最初にやることは「内気功」のトレー

     ニングです。「内気功」は, 健康の維持・増進を希望する方も, 病気を治した

    いと願う方も, あるいは潜在能力を開発したいという人も, 避けては通れな

    い基本です。「気功」というのは, すべてがここから始まり, テレビの健康番

    組と違って, 楽して通れる近道はありません。「内功」の目的は, 気血をスム

    ースに流す共に, 陰陽のバランスを回復させ, 健康体維持・回復させることに

     あります。気血がスムースに流れなければ, これから先何も始まらないから

    です。そして, その基本中の基本が「馬歩椿」ということになります。この功

    法だけは, いつでも, どこでも, ほとんど制限することなく, 自由にやることが

できます。


   「内気功」を基本として, その効果をさらに高めるために, いくつかの方法が

   用意されています。その一つが「一指禅功手穴療法」です。穴療法には, ツボ

   が多く集まる部位が, 手や足や耳にあることから, その部位の違いにより「手

   穴療法」「足穴療法」, および「耳穴療法」があります。手には35のツボが

   あるとされ, この部位を刺激することによって, 気血の流れを促進させようと

   するものです。「一指禅功手穴療法」が, ツボ療法, つまり指圧法であるのに

   対して, これとは別に呼吸と意念を用いながら, 身体全体を動かして気血の

   流れを調整させする「自己保健法」もあります。この中には, 達磨大師が編

    纂した「洗髄経」の古典があります。入門書に紹介されている, 一般の「自保

    健法」が, 洗練されたものであるのに対して, この「洗髄経」は, かなり原始的

   でグロっぽいところもあります。いずれにしても, 「一病多治」と云われるよう
 
     に, 一指禅功は「内気功」を基本として各種の方法で, 病気からの脱出をお手

伝いをします。




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   【やさしい気功のミニ講座】
   
   発行元: 日本気功倶楽部
   監 修: 藤岡 正巳 (主席指導員)
   編 集: 正田 竜二
   
※「やさしい気功のミニ講座」に掲載された内容を無断で複写、転載、転送および引用することを禁止いたします。記事の内容は, 著作権法で保護されています。なお、お友達の方へ紹介の為の転送は大歓迎です。

      

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