藤岡 正巳


(01) 気とは何か
 
まだ誰も答えていない最大の「難問」






【 言葉に詰まる難問 】 
   
   
「気とは何んですか」と聞かれるほど, 言葉に詰まってしまうことはないでしょ

うね。気功をやっている以上, 自分で扱っているものの正体が不明では, 我な

がら情けなく思えてきます。気功をやる前は「気とは何か」が気になりますが,

気功を実際に始めてみると「気の存在」の方に関心が移っていきます。トレー

ニングしているときに感じる気の反応に驚いたり, 自分の気が見えたといって

喜んだりと, いつしか「気とは何か」の初心を忘れてしまいました。気功のど

んな本を読んでも, 「気とは何か」について, 十分に納得できるように書かれ

ているものは, 見当たりません。「気とは」の説明の最後にいつも書かれてい

るのは, ようするに「現代の先端科学をもってしても気の本質は解明されてい

ない」ということです。そんなわけで, 気が存在することが分かったのだから,

なにも気の正体まで深く詮索することもないのではと思えてきくるのです。とい

っても, 「気とは何か」という問題を, 放っておいてよいわけではありません。



  
【 気とは生命エネルギー 】
   
   
「気とは何か」という大問題を, みなさんはどう考えているのか, とりあえずホ

ームページで調べてみました。どこかの雑誌に, ホームページで言葉を検索

するとき, 「△▼とは」と打ち込むと, 欲しい情報に近い内容が得られるとあ

りました。そこで早速, ヤフーの検索に「気とは」と入れてみました。すると

約800件がヒットしました。「気とは」と書かれた文章を, 最初の項目から片

っ端から読んでいきました。80件目近くに, どこかで見たような画面が飛び

出してきたので, よくよく見ると「バーチャル気功道場」でした。検索したい言

葉を, 自分のサイトで見つけるのは, 一寸ばかり変な気分です。「気とは」と

上段に構えた文章を100件ほど読んで, それらのご意見を集約して, その

平均値をさぐってみると, こんなことが言えそうです。誰もが肯定し異論のな

い答えは, 「気とは, 自然宇宙に浸透する生命エネルギ−」であるということ

です。気功の関係者で「生命エネルギー」説を否定する人はいないでしょう。

「気とは何か」と聞かれたら, 「根源的な生命エネルギーである」と答えておけ

ば, まずは無難でしょう。しかしながら, ここで終わったら, 二番煎じの教科書

的回答で, 思考停止の感を免れないでしょう。



【 二つの手掛り 中医学的解釈と科学的アプローチ 

   
気功に関心のある人なら当然のこととして, 次に「根源的な生命エネルギーっ

て, どんなものなの?」という質問を浴びせられることでしょう。そこで「生命エ

ネルギー」の内容に立ち入らればなりません。生命エネルギーとは, どのよう

な物質で, どんな性質をもち, どんな生理作用を有するのか, ということです。

この難しい問題を考える手かがりは, 二つありそうです。一つは中国の伝統

的な「中医学」の中に書かれている「気」の解釈です。「中医学」では, 気の

作用や気の運動形式など主に生理面から気が捉えられています。もう一つ

は1970年代後半から中国で行われた気の科学的なアプローチが役に立ち

ます。1977年, 一指禅功の林厚省老師を被験者にして, 彼が発したマイクロ

波を顧涵森博士が検出したのが始まりです。それ以降, 世界の科学者が気

の正体を追い求めました。この科学的な探求では, 気を主に物質面から捉

えています。さらに加えるならば, 気功の鍛錬の中で得られた体験的な情

報も大変貴重なものになるでしょう。



  
【 中医学 気=基本的で精微な物質 】

   
中国の最も古い医学書に「黄帝内経」という古典があります。この書物は, 戦

国時代(BC453〜BC221年)からまとめ始められたというから, もうすでに二千

年以上の歳月が経っています。日本では, 縄文時代の終わりから弥生時代に

相当します。卑弥呼が生きていたときに, 隣の中国では「黄帝内経」を編集し

ていたというのですから驚きです。それによると「気」とは, 自然界のすべての

物質を構成している, 最も基本的な物質がであるとされています。現代風にい

えば, 気は分子や原子, 素粒子ということなります。人体も当然のこととして,

天と地の「気」によって構成され, その生命活動も「気」によって行われるので

す。「気あつまればすなわち形成り, 気散ずればすなわち形亡ぶ」とあります。

人体が生命活動を維持するためには, 絶えず気が生成・補充されねばなりま

せん。気は, 飲食物から得られた栄養素(水穀の精微)と, 肺から吸入された

清気(外気)が合成されて生成されるとあります。これが, 分かりやすく最も単

純化した「気」についての説明です。



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   【やさしい気功のミニ講座】
   
   発行元: 日本気功倶楽部
   監 修: 藤岡 正巳 (主席指導員)
   編 集:
正田 竜二
   
※「やさしい気功のミニ講座」に掲載された内容を無断で複写、転載、転送および引用することを禁止いたします。記事の内容は, 著作権法で保護されています。なお、お友達の方へ紹介の為の転送は大歓迎です。
     
 

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