2001.05.05 創刊
(07-01)一指禅功の特徴
気功師養成のための気功
2006年1月31日 (No.77号)
【 名は体を現す 少林・内勁・一指・禅 】
一指禅功の特徴については, 第五章「気との遭遇(その一)」の「(02)一指
禅功とは」(2004.01.28 No.54号)の中で, 比較的分かりやすく書いてある
ので, 要約して再録させていただきたいと思う。一指禅功は,かつて「少
林内勁一指禅」の名で呼ばれていた。「名は体を現す」というように, この
七文字の中に, 一指禅功という気功の特徴が, 余すところなく見事に表
現されているように思う。この七文字を分解してみると, 「少林」「禅」「内
勁」「一指」という四つの熟語に置き換えることができる。「少林」とは, この
気功が創られた場所を表し, 具体的には中国の嵩山少林寺や東禅少林
寺の気功であることを示している。次に「禅」とは, 気功が創案された少林
寺が, 仏教の中の禅宗系の寺院であることを表すと共に, 「精神を統一し、
無我の境地に入って物事の真の姿を求める」ことである。 「内勁」とは, 内
気もしくは「潜在的な力」(潜在能力)という意味である。最後に「一指」と
は, この潜在的な能力を開発させる方法を表し, 手の五指を, あるいは足
の五指を, 特殊なトレーニングで鍛えることである。「少林内勁一指禅」を
直訳すれば, 中国の禅宗系の少林寺で創案された, 潜在能力を開発す
るために, 一指を鍛える気功ということになろう。この「一指」を鍛えるとこ
ろに, 一指禅功の流派の最大の特徴があると云える。
【 経絡の出発点 「井穴」 】
それでは何故に一指禅功は, これほどまでに「一指」にこだわるのであろ
うか。その理由は, 手足の指が経絡の中で特別な地位を占めているから
にほかならない。人間の身体の隅々まで縦横に走る経絡には, 十二正
経と奇経八脈があることは, 気功に関心がある方ならばご存知と思う。そ
のうち十二正経は, 五臓六腑と直接の関係をもち, 手に6本と足に6本の
計12本の経絡が走っている。たとえば, 手の指に走る経絡を例にとるな
らば, 親指=手太陰肺経, 人差指=陽明大腸経, 中指=厥陰心包経,
薬指=小陽三焦経, 小指=小陰心経, 小指=太陽小腸経ということに
なる。小指だけ二本の経絡が通っている。これらの指を走る各経絡は,
親指=手太陰肺経というように, 五臓六腑の中の特定の臓器とつなが
っている。とはいえ, 一指禅功にとって重要なことは, 手の五指を通る各
経絡の出発点が, それぞれの爪の生え際にあることである。少し詳しくな
るが, 経絡の出発点のツボを列記してみると, 親指=手太陰肺経=少商
穴, 人差指=陽明大腸経=商陽穴, 中指=厥陰心包経=中衝穴, 薬
指=小陽三焦経=関衝穴, 小指=小陰心経=少衝穴, 小指=太陽小
腸経=少沢穴である。これらのツボは「エネルギーの湧きいずる井戸」と
いう意味で「井穴」(せいけつ)と呼ばれている。もし漠然と健康維持のた
めに手にあるツボを刺激したいと願うならば, この六つの井穴を朝晩, 温
かくなるまでやさしく揉みほぐすことをお勧めしたい。
※ 「「井穴」については, 「日本気功倶楽部情報室」の「メニュー」の
「02図解・手のツボと症状」を参照されたい。
(http://www.pureweb.jp/~aam13920/)
【 「気血循環の促進」の原理 】
一指禅功の最大の特徴は, この「一指」を特殊な方法で鍛えることにあるの
だが, それでは「一指」を鍛えることは他流派の気功と較べて, どのような
違いがあるのであろうか。一指禅功の場合, 「一指」を鍛えるという言葉の
中には, 健康維持と病気回復から, 各種の潜在能力の開発まで含まれて
いるが, 練功することで得られる「気血循環の促進」の効果について, 太
極拳などの動功と比較しながらみていきたい。単純化して言えば, どの流
派でも練功の主な目的は, この「気血循環の促進」にあるからである。太
極拳などのゆったりした動きのある「動功」を最初に見たとき, 誰もが何をし
ているのだろうか, どんな効果があるのだろうか, と疑問に感じたことがあろ
う。他の動功にも見られるこのゆったりした動きは, 筋肉を鍛えているわけ
ではなのである。太極拳などの動功の原理は, 身体を動かすことで経絡を
刺激し, 経絡を刺激することで「気血」の流れを促すのである。たとえば.
側胸部, 脇の動作は足厥陰肝経を刺激し, 背中の動作は督脈と足太陽
膀胱経を刺激する。このことによって, 刺激された経絡内の気の流れが促
進されるのである。さらに動功の場合には, この身体の動き基礎として,
呼吸や意識の集中によって, 気血循環の促進が行われるのである。これ
に対して, 一指禅功の場合には, 経絡の起点となっている五指を鍛える
のである。五指を動かすことで経絡を刺激し, 経絡が刺激することで, 気
血の循環を促すのである。
【 「一指」を鍛え, 「一指」で気を操る 】
ここで読者の方は, 身体全体を動かすより, 指を動かすことの方が, 経絡を
刺激する点では有利だと思わないだろうか。身体をうまく動かせない人は
いても, 指を動かせない人はいないだろう。身体は自由に動くものではな
いけれど, 指は自由自在である。身体と指の動作範囲を較べてみれば明
らかである。このように一指禅功は, 経絡の起点になっている指を動かす
ことで, 経絡を直接的に刺激し, 気血の流れを強烈に促すのである。それ
ばかりではない。手の五指には六本の経絡が走っているので, その組み
合わせは多様であり, さらに指の動かし方も含めれば, 健康維持や病気
回復ばかりでなく, 潜在能力の開発など諸々な効果が期待できる。
一指禅功は, 多種多様な方法で「一指」を鍛え, そしてまた「一指」の特
殊な操作で気を操るのである。それでは人間の指の動きについて, 西洋
医学的にみればどういうことになるのか。「指は体の外に飛び出した脳で
ある」と多くの医学関係者から指摘されている。手の五本の指は,脳とそ
れぞれ結ばれており,動かす指によって活性化される脳の領域が違うと
云うのである。脳との関係でいまだ科学的に解明されていないけれど, 気
功では, 手の五指と身体を頭から脚まで五分割した部分とが, 不思議な
ことに正確に対応しているのである。身体のあるツボから内気を出したい
ときには, それに対応した指を特殊な方法で操作するのである。一指禅
功は, 「一指」を鍛え, そして「一指」で気を操るのである。一指禅功は,
健康維持と病気回復をめざす内気功であると共に, 気功師を養成するた
めの外気功をも兼ね備えた気功なのである。
** 会員からのメッセージ ***********************
『風邪を引かなくなった』(青森 青リンゴ♀)
『 気功を始めてから半年ほどになりました。私は少し鈍いせいなのか, 気
が見えたり, 気を感じたりすることがありません。気が見えるというメッセー
ジを読むと, とてもうらやましくなります。けれども体には変化がありました。
それは風邪を引かなくなったことです。毎年寒くなると, 次から次へと休む
ことなく, 風邪を引き込んでしまいました。今年はまだ鼻風邪ていどで, 寝
込むこともありません。免疫力が高まったのですね。嬉しいことです。 』
『馬歩椿は結構つらいです』(東京 新人♂)
『みなさん, 今日は。一指禅功の新入生です。馬歩椿の姿勢を写真で見
ていると, どうってことないと思っていましたが, 実際に自分でやってみる
と結構つらいものがあります。10分ほど立っていると, 両脚がぶるぶると
震えてきます。僕はスポーツが好きなほうで, サッカーや野球などを週に
一, 二度はやっています。身体には自信があったのですが, 立っている
だけというのは, また違う身体の使い方なのですね。でも, 屈せずに頑
張ります。 』
** 購読者コーナ ***************************
発行元: 日本気功倶楽部
監 修: 天地 一道
編 集: 正田 竜二
※「バーチャル気功空間 気の世界」に掲載された内容を無断で複写、転載、転送および引用することを禁止いたします。なお、お友達の方へ紹介の為の転送は大歓迎です。
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