【 三調技術　調身だけの気功 】


　　　第一章の入門編「(06)調身」のところで少し触れたが, 気功には三調技術と

　　　いうものがある。『三調技術とは, 「調身・調息・調心」の三つを指し, 「調身」は

　　　正しい姿勢, 「調息」は呼吸法, 「調心」は意識の持ち方である。一般的には

　　　どの流派も, 調身・調息・調心の三つの組み合わせによって気功のトレーニン

　　　グ法（功法）が作られている。姿勢・呼吸・意念(意識)が, 気功の三要素という

　　　ことになる。このうち, 調身は練功するのに適した正しい姿勢のことであり, これ

　　　によって気血を調和させ経絡の流れを促進させることができる。このように, 調

　　　身は三調技術の基礎であり, これをベースとして調息と調心が加わり功法が

　　　成り立っているのである。』　ところが, 一指禅功では, 調身だけに重きが置か

　　　れ, 調息と調心は通常では使われることがない。したがって, 呼吸法と意念を

　　　使うことがないのだから, テレビを見たり, 音楽を聴いたり, あるいは隣の人と会

　　　話しながら, 練功をしても一向に差し支えがないのである。一指禅功は, 極端

　　　な言い方をすれば, 調身だけの気功ということができる。



【 意念と身体 】


　　　一指禅功は練功の際に, 無理に雑念を排除する必要も無いし, 特に複式呼

　　　吸を要求するものでもない。意念も呼吸も共に, ありのままの自然体でいいの

　　　である。もし, イライラが嵩じて練功に支障をきたすようであるならば, 楽しい

　　　風景を頭に描きながら続けるのもよいだろう。ただし, 調息と調心は通常は

　　　使われないけれども, 一指禅功とはまったく縁がないわけでもない。調息に

　　　関しては, 練功の終了時に行う 「収功」のときのみ, 鼻から吸い, 口から吐く,

　　　ごく普通に行われている呼吸法を用いている。他方, 調心すなわち意念の方

　　　は, 特殊な場面でのみ使われることがある。通常目にする気功の入門書によ

　　　れば, ある特定の部位に意念を置く(意識を集中させる)ことを意守というが, こ

　　　れによって自己の身体や内気をコントロールすることができると云う。たとえば

　　　自分のツボを意守する「内意守」では, 練功中に足の裏の湧泉穴を意守する

　　　と血圧が下がり, 背中の命門穴を意守すると腰痛や冷え性に効果があるとさ

　　　れる。意識が身体に与える影響については, 下丹田を意守すると, その部位

　　　の体温が上昇することが実験で証明されている。あるいは, 小麦粉を練った

　　　偽薬でも, 本物の薬と同様に身体の機能が改善されることがある。「病は気か

　　　ら」というように, 意識と身体とは一体不可分の関係なのである。



　　【 手指按動法と意念 】


　　　一指禅功では, 練功中にある特定の部位を意守することはしない。練功中の

　　　意識は, 頭を空っぽでぼうっとしていればよいのである。それでも人によって

　　　は, 意念を使わなければならない特殊な場面がある。一指禅功には独特の

　　　鍛錬法として, 指定された指を順番に下に降ろす「手指按動法」というのがあ

　　　る。詳しい理屈はいずれ十二正経のときに説明したいと思うが, 十二の経絡

　　　の出発点は, 手と足の指の爪の生え際に, それぞれ六箇所ある。手と足の経

　　　絡は繋がっているので, 「手指按動法」で手の指を刺激することで, 十二正経

　　　内の気血の流れを促進させるのである。手の指には, 親指(陰経), 人差指(陽

　　　経), 中指(陰経), 薬指(陽経), 小指(陰経・陽経)がそれぞれ通っているからで

　　　ある。もしもこのとき, 小指が無い人がいたらどうであろうか。別にヤーさんでな

　　　くても, 事故で小指を失ってしまった人は少なくないだろう。指が一本でも無い

　　　人は, 一指禅功を鍛錬できないであろうか。なぜなら, 一指禅功の鍛錬法の

　　　半分以上が「手指按動法」で構成されているからである。しかしながら, 心配

　　　するなかれ。そんなときこそ, 一指禅功の意念は生きてくるのである。小指が

　　　無ければ, 意念によって小指を降ろしているイメージを頭に描くのである。そう

　　　すれば, 小指を降ろしたときと同じ効果が得られるのである。

　　

【 意念発気法と自然発気法 】


　　　このように, 一指禅功では意念は特殊な状況のときしか用いることがない。通

　　　常の練功の時だけでなく, さらには外気治療のときでさえ, 意念を用いること

　　　がない。よく見られる一般的な内気外発の方法は, 「意念発気法」と呼ばれ,

　　　意念をもって内気を体外に放出させるのである。意念を使ってまずは身体中

　　　の内気を下丹田に集める。次に, 下丹田に集まった内気を意念によって胸ま

　　　で上行させ, さらに肩から腕に導き,そして手の平に意識を集中させてながら

　　　内気を外発させるのである。若く健康な人であれば, 時間をかけさえすれば,

　　　内気は外発するはずである。しかしながら「意念発気法」は, 発功するまで時

　　　間が掛かるうえに, 消耗が激しいので, 気功治療としては不向きである。一指

　　　禅功の場合, 梯形という独特の手指の形をとるだけで, 自然に内気は外発す

　　　る。しかも, 手の平から内気を外発しながら, 別のツボから外気が吸収される

　　　ので, 長時間の発功が可能であるばかりか, 内気外発に伴う消耗も極めて少

　　　ないのである。これを「自然発気法」と呼ぶ。一指禅功では, 意念を用いて発

　　　功すると, かえってパワーが落ちてしまう。片手にコーヒーカップを持ちながら

　　　でも, 外気治療が可能なのが一指禅功なのである。

　　　

　　　＊＊ 会員からのメッセージ ＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊


　　『気を感じました』(アメリカ・フロリダ州　BRさん♀)

　　　『こんにちは、会員Ｎｏ497のBRです。「双手抱球功」を送って頂き有難うご
　　　ざいます。 早速今日やってみて気を感じる事が出来てとても嬉しく、ワクワ
　　　クしました。有難うございます。ところで、気を感じる事が出来るようになって
　　　きたので, 次は気を見てみたいと思っています。「気の視方」を教えていた
　　　だけるとＨＰやメルマガに書いてあったので教えて頂けませんか？宜しくお
　　　願い致します。』(0005.09.02)

『続・気が見えました』(アメリカ・フロリダ州　BRさん♀)

　　　『気の視方を送って頂き有難うございました。早速視てみたところ、案外あっ
　　　さりと視ることが出来ました。指先から湯気が出ているみたいに見えたので
　　　すがこれが気ですよね？練功するのが毎日楽しみです。日ごろの疲れも
　　　殆ど感じなくなり、本当に感謝しています。』　(0005.09.03)



『金剛正陽柱について』(愛媛　H.Aさん♂)

　　　『近況はと言えば相変わらず特別な進歩はありません。ただ少しずつ気感
　　　が強くなっているとは思えるのですが、なにぶん特別なエピソードを語れる
　　　ほどでないのが少々さびしいです。ところで補腎強身法についていた金剛
　　　正陽柱のことですが、脳の活性化に役に立つならと、手元が無聊なときに
　　　やるようにしていますが、慣れてきてきて、最近５分くらい続けてやると練功
　　　中のように掌にかなり強い気感がえられるようになりました。ボケ防止だけで
　　　なく気功鍛錬のためにも役に立つのじゃないかなという気がしています。こ
　　　れからも手だけの暇を見つけたら精出して励んでみようと思います。』



『 胃弱が改善されました 』 (岡山　O.Nさん♂)

　　　『こんにちは, 私は岡山の片田舎で暮らしています。以前から気功には強
　　　い興味をもっていましたが, 残念ながら近所には体育館や公民館はあるも
　　　のの, 気功や太極拳などを教えてくれる人がいません。インターネットで調
　　　べているうちに, 当倶楽部にたどり着きました。一指禅功は, 動きが少ない
　　　ということなので, 通信教育でもできるかも知れないと思い入会しました。送
　　　られてきたテキストの通りにやってみましたところ, 太腿は辛いものの案外
　　　簡単にできました。まだ二ヶ月しか経っていませんが, 慢性の胃弱がだい
　　　ぶ改善されました。食事がおいしいということは, 幸せなことだと実感してい
　　　ます。感謝, 感謝です。



　　　　＊＊ 購読者コーナ ＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊


　　　□　質問 「 中国気功との関係は？」　□

　　　『バーチャル気功道場は, 中国の気功との組織的なつながりはあるの
　　　ですか。中国政府の法輪功への弾圧や, サッカーでの日本人サポー
　　　ターへの嫌がらせ, 上海などの大都市での反日デモと, 中国人が嫌
　　　いでない私でさえ, かなりの嫌中気分になってきます。』

　　
　　　■ 答え ■

　　　『バーチャル気功道場は, 中国の気功との組織的なつながりはありま
　　　せん。中国人気功師を師匠として, 長く指導を受けてきましたが, 組
　　　織的な関係はありません。完全に独立した日本人による気功です。』　

　　　　＊＊ 購読者コーナ ＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

　　　発行元: 日本気功倶楽部

監　修: 天地　一道

編　集: 正田　竜二

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