並木克敏(天地一道)
「バーチャル気功空間 気の世界」

2001.05.05 創刊




第五章 気との遭遇
   
(05-12) 経絡敏感的人間

それは日本にいた(No.64)

   

2004.11.27
   


  
 【 「天は二物を与えない」 】
   
   「天は二物を与えない」というが, 知性と感性の両面において天才的な能力を

   もった人を, 私はあまり出会ったことがない。私の知る限りでは, 特別に優れ

   た人と云っても, 知性か感性かのどちらかに偏っていることが殆んどである。

   「芸術は爆発だ」というコマーシャルで有名な岡本太郎は, 晩年には目立ちた

   がり屋が嵩じて, 品行方正とはいえない役柄を, さかんにテレビのバラエティ

   番組で演じていた。岡本太郎と共演していた片岡鶴太郎は, それを見ながら

   「ただのスケベ爺」と, こき下ろすことしきりであった。バラエティ番組での

   岡本太郎の姿だけを見ていれば, 「ただのスケベ爺」に映るかもしれないが,

   かつて岡本太郎は, 日本美術史の上で画期的な貢献をしていた。考古学者以外

   には誰も振り向くことのなかった縄文土器に, 岡本太郎は初めて芸術品として

   の評価を与えたのである。精彩に乏しい弥生土器と較べて, 生命の溢れんばか

   りの力を, 縄文土器の中に見出したのである。芸術とは何かを含めて, 鋭い感

   性の持ち主であったと思う。とはいえ, 岡本太郎の文章や対談などを読む限り,

   優れて知性的とはとても言い難い。「天は二物を与えなかった」のである。鋭

   い感性の持ち主とは反対に, ある人は頭脳明晰でありながら, その逆もまた真

   なのである。そんな人とも何人か出会っている。



   
【 「天は何も与えてくれない」といこともない 】
   

   岡本太郎のような天才的な感性の持ち主もいるが, 世界には電話帳一冊を丸ご

   と暗記してしまう異常とも思える記憶の持ち主もいる。それほどでなくても,

   自分の目を周囲に向けてみると, えっ !! と驚くような能力をもった人に出会

   うことがある。今日ほとんど見かけることもなくなってしまったが, 明治生ま

   れの人たちの中には, 東京生まれでも, 小学校さえ満足に行くことができなか

   った人も少なくない。そのために, 字は少し読めるが, カタカナしか書けない

   というご老人が, 私の周囲には何人かいた。文盲である。文盲であるから,

   「脳力」が劣るかと云えば, 決してそうではない。読み書きを自由に操る普通

   の人よりも, はるかに記憶力がよいのである。私などはひどいもので, 自分の

   誕生日しか知らず, 両親の誕生日が何時だったか覚えていない。電話番号をは

   じめ歴史の年代など, 数字を覚えるのが大の苦手である。それと較べると, 文

   盲の「ご老人」は孫の誕生日までも, しっかりと記憶していたのである。私に

   とっては驚きでなのある。

   私は, 数字を覚えるのとは違い, ある風景をイメージとして記憶している点で

   は, 普通の人よりも多少自信があった。小学生の頃の出来事でも, 晴れか曇り

   か, 寒いか暑いかを含めて, 今もそのときの風景をイメージとして記憶してい

   る。他人の顔についても, 名前とはなかなか一致しないけれど, 憶えの良い方

   だと勝手に思っていた。ところがである。一度会話を交えた相手なら, その顔

   をいつまでも忘れることがない, という人物と出会ってしまった。水商売の人

   であれば, 一年後にふらっと寄った「一元」さんの客を, 覚えていたとしても

   さして驚くことではない。お客の顔と名前を記憶の中に叩き込むことが, これ

   からの商売を左右する死活問題だからである。ところが, 私の出会った人物は,

   ごく普通の中年の主婦である。意外なことに, 頭脳明晰とは程遠く, どこから

   見ても知性に曇りのありそうな人なのである。それが, 鍛錬された記憶力では

   なく, 天性の記憶力の持ち主であった。 人間というのは不思議なもので,

   「天は二物をなかなか与えてくれない」けれど, 人間の能力は多種多様な拡が

   りを持っているので, 「天は何も与えてくれない」ということもないのである。

   そうした特殊な能力を生かせる職業が, うまく選択できたとしたら幸せである。



【 気が見える 超敏感な目の持ち主 】
   
   
   気功の方でも, 気を感じやすい人と感じにくい人, 気が見えやすい人と見えに

   くい人がいる。それも異常とも思えるほどに, 気に対して鋭敏な感覚の持ち主

   が存在している。数メートル離れたところで, 私が物を捕ろうとして手を動か

   すと, 身体が引っ張られるように前に動き出してしまう人がいた。外気導引法

   をやっているわけではないのに, 勝手に身体が動いてしまうのである。こうい

   う人に外気導引法を施すと, 前後左右と自由自在に動き出すばかりでなく, 目

   が飛び出しそうと訴えてくる始末である。外気功をやる人は, あらかじめ気に

   対して超敏感な相手を数名ゲットしておくと, 自信につながるように思う。内

   気外発に自信がもてるようになると, 心身ともにリラックスしてくるので, さ

   らに内気は出やすくなる。上達が早くなる一寸した工夫というものである。

   気が見えるという人も, また千差万別である。気が見えるという人の最も一般

   的な気の見え方は, 手の指先から白い線状のものが, 真っ直ぐに伸びていると

   いうものである。この水準ならば, ほとんどの人が到達可能な範囲である。気

   が見えるのは, 蜃気楼が見えるのと同様に, ごく普通のことだからである。実

   際に気が見えない人の方が, 貴重な少数派ということになる。さらに, 超敏感

   な感覚の持ち主になると, 指先の気が見えたり, 頭部から発する気が見えたり

   する程度の, 可愛らしい見え方ではない。馬歩椿をやっていると, 突き出して

   いる両腕のツボから, 勢いよく噴き出している複数の気が見えるというのであ

   る。このレベルになると, 日本狭しと言えども, そう簡単に出会えるものでは

   ない。私もそういう人を, 唯一人だけ会ったことがある。特異体質の持ち主と

   いうことになろう。人間を長くやっていると, いろんな人に出会うものだ。



   
【 経絡敏感人 】   
   

   もうひとつの特異体質の持ち主に「経絡敏感人」がいる。「バーチャル気功道

   場」の会員の中では, 練功中に気が経絡の中をゆっくりと流れて行くのを体験

   をしたという人も多い。一指禅功の特徴の一つには, 他の流派の気功と較べて,

   内気外発(気を出す)がしやすいことと, 気感が強いことがあげげられる。そ

   のために, 経絡の中を気が流れているという, 驚きと喜びの報告をいくつも受

   けている。特に, 背中の督脈の中を温かい物質が, ゆっくりと這い上がってい

   く気感は, 多くの人が比較的体験しやすい方である。私はと云えば, 「第一章

   入門編(09)経絡」で触れたように, かなりの「経絡敏感人」であった。小指

   の少沢穴から始まり, 腕の後ろを通り肩に這い上がり, 胸に降りるという「手

   太陽小陽経」の経絡を, 練功中に気の流れとして確実に実感できていた。それ

   ばかりでなく, 経絡ははっきりしないが, 腕の腋の下の前側から胸に向かって

   の, ちょろちょろとした流れを練功する度に感じていた。しかし世の中は広い

   もので, 私のような「部分的経絡敏感人」ではなくて, 本物の「経絡敏感人」

   が存在していたのである。それは, 1949年の戦後間もない日本にいた。視神経

   萎縮症という悪性の眼病の患者で, 十二経絡の原穴に針を刺すと, その経絡に

   沿って「ひびき」が長時間にわたって感じられるという。その「ひびき」が感

   じられる部分を, 皮膚の上から辿っていくと, そのすべてが十二正経の図と一

   致したそうである。1949年と云えば本場中国でも, 近代気功の創始者として著

   名な「劉貴珍」が, 河北省にある共産党幹部のサナトリウムで, 初めて「内養

   功」を指導した時期でもあった。そして「気功」というモダンな名称が, 劉貴

   珍によって提案されたのが, 1957年のことなのである。



  
** 会員からのメッセージ ***********************


『動画に期待します SSさん』

   『動画の件に関しまして掲示板に意見の募集がありましたので私見ではありま
   すが意見を述べさせて頂きます。先ずは、動画への取り組みに大変期待と感謝
   を申し上げます。毎日一人で練功をしていると、果たしてこれで間違ってない
   のだろうかと不安になる事がありますが、動画を取り入れて頂く事により随分
   とこの面の解消が出来るのではないかと期待しております。
   ちなみに、私のPCでは現在HP上の動画は見る事が出来ません・・・・理由はわ
   かりませんが、ADSLの中でもあまり環境の良いほうではないので、それも原因
   の一つかもしれません。(原因が分りましたら報告いたします。)それから、
   HPに動画を載せる場合はトップページに載せるのは止めた方が良いような気が
   いたします。動画を載せるとどうしても重くなるのでトップページを開くのに
   ストレスが多くなるような気がするのですが・・・・特に、ADSLなどは時間帯
   により速度もかなり違ってきますので、他のページを作ってリンクさせたほう
   が良いような気が致します。もしくは、閲覧したい人(我々)がダウンロード
   するようにしたらどうでしょうか?』

   ※倶楽部より一言

   アドバイスありがとうございました。トップページへの掲載は, 控えることに
   します。現在, 試験のために掲載している動画は, 容量が10MBです。次回の
   ものは, 30MBで試験をしてみます。できるだけ早く, 動画が見えるようにし
   て下さい。

   
   『腰痛解消法が利きました』(Aさん)

   『最初に送っていただいた腰痛解消法のおかげか最近は練功後に腰がゴキ
  ゴキならなくなりました。よくなっているような気がします。まだ練功中に骨盤
  がかたがってる気がしますけど・・・。指禅発気法、単掌発気法ともに試して
  みたところスースーする。といわれました。これってあんまりいい気が出てな
いのでは?と思うのですがどうなんでしょう?』
   
※倶楽部より一言

   スースーと感じるのも正常な反応です。心配なく。でも, まだ内気功の段階で
   すから, あまり内気外発はしないようにして下さい。




 
   ※気功やこのメルマガの内容に関して, ご意見やご質問がありましたら, 是非
   
お寄せ下さい。お待ちしています。
   
    Email aam13920@nyc.odn.ne.jp  編集  正田 竜二
  



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【バーチャル気功空間 気の世界】月刊
                                   
    発行元: 日本気功倶楽部
   監 修: 天地 一道
   編 集: 正田 竜二


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