並木克敏(天地一道)

「バーチャル気功空間 気の世界」

2001.05.05 創刊




第五章 気との遭遇
   
(05-08) 気出し過ぎ

神田の交差点で「手かざし」する青年(No.60)

   

2004.07.23
   


   【 東京・神田の交差点で「手かざし」する青年 】   
   
   
   
確か十数年前のことだったと思う。東京・神田の古本屋巡りをした帰りに, 交

   差点で青信号に変わるのを待っていたときの出来事である。みんなが道路向か

   い側の信号に顔を向けているいるのに, 車道に立ちながら, 通行人に向けても

   ぞもぞと手を動かしているいている異様な人影があった。よくよく見ると, 私

   たちが普段行っている外気治療の際の手の動きと似ているではないか。この当

   時, 某宗教集団(オウムではない)がさかんに喧伝していた「手かざしの術」

   を, 二十歳ぐらいの若い青年二人が, 街頭で無差別な相手に実演しているよう

   なのだ。日本では中国と違って, いかなる気功の流派と云えども, 街頭でしか

   も不特定の人に, 外気治療を施すということは, 聞いたことがなかったからで

   ある。この宗教集団は, 新聞のチラシなどを使い連日のように, 「手かざしの

   術」の効用や, 東京の各地にある道場への入会を大々的に宣伝していた。しか

   も私の町内会では, 回覧板に宗教名を伏せて「手かざしの術」を載せていた。

   ここまで食い込んでいたとは, かなりの驚きであった。回覧板は公共性が強い

   ので, メールマガジンと同じょうに, 特定の政治集団や宗教集団を扱わないと

   いうのが普通である。当時, このように強引で非常識な行動をしていたので,

   某宗教集団は, 普通の人の間でもかなり話題になっていたのである。面白いこ

   とに「手かざしの術」を受けてしまった六十歳近くの女性が, 目を三角にしな

   がら, 肩から腕にかけて必死になって, ホコリを払うかのように手を動かして

   いたのが印象的だった。




   【 青年の顔に「精気」が欠如していた 】 


   
この現代日本では, 信教の自由は保障されているので, とやかく言うものでは

   ないが, この二人の若い青年を見ていて少し気になることがあった。それは何

   かというと, 二人共に「精気」というものがまったく欠如していることである。

   「精気」とは, 国語辞典によれば生命根源の力, 「精神と気力」とある。二人

   共に異常に痩せ過ぎているうえに, 目は「とろん」としていて輝きも覇気もな

   く, 顔も艶の無い煤のような黒い肌をしているのである。さらには, 身体がか

   ったるそうで, 動きも緩慢であった。彼らは, 信号待ちをしていた普通の人と

   は異質な存在に映っていた。たとえて言うならば, 重病に患っていた患者が,

   病気全快しないうちに, 病院から今朝出てきたような感じなのである。「手か

   ざしの術」を勝手に受けてしまった六十歳近くの女性が, 驚いたのも無理はな

   かった。

   多くの人が医者でもないのに, 相手を見ただけでその人の健康状態を, ある程

   度予測することはできる。顔が異常に赤ければ, 熱があるか, 血圧が高いかを

   疑うであろう。胃腸に障害がないのに, 急に痩せこけてきたら, 癌や糖尿病な

   どの病気を疑うであろう。それは, 長く人間をやっていれば, 誰もが多少なり

   ともそんな場面に出会っているからである。たとえ素人が病名を特定できなく

   ても, 健康かどうかは, その人の姿・形を見れば直感的に判るというものだ。

   このような個々の経験が, 数千年の長きにわたり, 微に入り細にわたり蓄積さ

   れ, 体系化されたのが「中国伝統医学(中医学)」であり, 同様に気功にも,

   経験に裏打ちされた気功師の健康状態をチエックする方法がある。




   【 病気の診断法 西洋医学と中医学 】
   
   
   
現代の西洋医学では, 患者の病気を診断する際に, 血液検査や尿検査などを行

   うが, 科学的な検査が確立していなかった時代に体系化された中国伝統医学で

   は, 数千年の長い時間をかけて蓄積されてきた, 経験的な「四診」という方法

   を用いて病状を判断してきた。「四診」とは, 簡単に言うならば, 患者を「見

   る」「聞く・嗅ぐ」「問う」「触れる」という, 視覚・聴覚・嗅覚・触覚とい

   う人間の五感を動員して行う診断法である。これを中医学用語に置き換えると,

   「見る=望診」「聞く・嗅ぐ=聞診」「問う=問診」「触れる=切診」という

   ことになる。「望診」は, 患者の精神状態, 顔の色や表情, 舌の様子, 姿勢や

   形を「目」で, 「聞診」は, 音声のトーンを「耳」で聞いたり, 口臭や便臭を

   「鼻」で嗅いで診断する。また「問診」は, 身体のいろいろな状態を「心」で

   聞き取り, 「切診」は, 脈をとったり, お腹などに「手」で触れてしこりなど

   がないか調べることである。「四診」は, 五感を通して一つ一つ経験的に体得

   するものであるから, 数値で判断する血液検査などと違って, 全体をマスター

   するには, かなりの時間が必要である。たとえば「切診」の中の「脈をとる」

   方法は, 特に「脈診」と呼ばれ, 患者の両手の手首の部位を, 人差指・中指・

   薬指の左右の六指(六脈)で, 小腸と心, 胆と肝, 膀胱と腎などの内臓の気の

   状態を測知するのである。一寸した名人芸のように思えるではないか。また,

   「舌の様子」を見る方法を「舌診」と言うが, これも舌の本体である「舌質」

   と, その上に生えている「舌苔」の状態を観察することによって, 病気の性質

   や正気と邪気の消長を知るのである。これもマスターするには容易ではない。




   【 外気治療 「命を削る」行為 】
   
   
  
 彼ら若い青年二人が,「精気」を失ってしまった原因は, おそらく「気」の出

   し過ぎにあったのではないかと想像される。それも, かなりの重症のように見

   える。一指禅功であるならば, 内気外発は即中止である。病人が健康な人を外

   気治療しているのである。その姿は異様であった。身体の中を流れる「内気」

   とは, 生命そのものなのであるから, 無差別に無制限に内気外発すれば, 消耗

   するのは当然である。西洋医学の場合には, 病気の治療は, 投薬やないしは外

   科手術などを施すことで行われる。そこでは, 医師の体力や脳力を酷使するこ

   とはあるけれど, 自分自身の命そのものを使うことはない。それに対して, 気

   功師による外気治療は, 「内気」という命そのものを使って, 相手の病気を治

   療するのであるから, 外気治療は「命を削る」行為ということになる。したが

   って, 一指禅功では無差別で無制限の内気外発は, 気功師にとってやってはな

   らないタブーの一つである。「命を削る」行為なのであるから, 内気外発の際

   には, 数々の発気上の注意事項がある。その一つが, 気の出し過ぎかどうかを

   判断する「自我感意」である。「自我感意」とは, 「四診」の中の, 「目」で

   見て気の出し過ぎかどうかを判断する「望診」に属するもので, 手の表情を読

   む方法である。これによって「精気」が失われた状態になる前に, 気の出し過

   ぎかどうかを察知するのである。気の出し過ぎという結果が出れば, すぐにも

   内気外発は中止し, 失われた内気を補充するために, 特殊な功法でトレーニン

   グせねばならない。しかしながら「自我感意」については, 中医学の教科書に

   は載っていないのである。




** 会員からのメッセージ ***********************


『ハンドパワーがついたみたい』(北海道 OSさん♂)
   
   『今日は最近の出来事についてお知らせしたいと思います。どうやら私はハ
   ンドパワーが発生してきているみたいです。蓄膿症や喘息の知人に、私の手
   をうちわみたいにして患部の部分の上を上下に動かしたり手をかざしたりし
   ていると、蓄膿症の人は鼻が通って鼻で呼吸が出来る様になったり喘息の人
   は痰が切れて咳きが止まったりするのです。しかもその時に、興味深い現象
   が起きるのです。それは、手を患部の上にかざしたり動かしたりしていると、
   患部の部分が赤くなってくるのです。蓄膿症の人は鼻を中心に顔が赤らんで
   くるのです。喘息の人は胸が風呂上がりの時みたいに赤らんでくるのです。
   患部に直接に手を触れている訳ではないのにです。よくテレビで気功師が外
   気功で患者の治療をしているのをサーモグラフィーで観測すると氣を送って
   いる患部の部分の体温が上昇していたりしていましたが、私の場合も、患部
   の体温が上昇して、肌が赤らんで見えるのかもしれません。私自身ももとも
   と酷い腰痛持ちで、一度腰痛が発生すると、何日も動けない程ひどいのです。

   最近も腰が張ってきて痛みが出てきて、これはマズい前兆だと思いましたが、
   自分の両手を腰に当ててみたら、手を当てている部分が熱くジンジンしてき
   ていつの間にか痛みが消えていました。今も腰に違和感はありますが、日常
   の生活には全く問題ありません。私はバーチャル気功道場で気功を習って一
   年と三ヶ月なので、まだ外気功療法など知りませんがそれでも自己流の簡単
   なやり方でも病状を改善出来るのだから、本式の外気功療法はどれ程のもの
   かと、今からとても期待しております。』
   

   ※倶楽部より一言
   
   『OSさんは, 前々号のNo58号で「外気導引法ができました」というメッセー
   ジを送ってくれた方です。気の力だけで人を動かす外気導引法を身に付けた
   だけでなく, 今度は一年少しでハンドパワーが得られたそうです。OSさんの
   場合は, 通常よりかなり速いテンポで潜在能力の開発が進んでいますが, 能
   力開発は個人差が大きいので, まだの方もめげずに淡々とトレーニングに励
   んで下さい。淡々とトレーニングすることが, 一指禅功の極意です。いつか
   は見事な華が開くと思います。




** 購読者コーナ **************************


 
  □ 再掲載 質問 「秘伝の技はインターネットで伝わるか」□   
   
   『少林寺系の有名な気功のサイトに, 「秘伝」なるものは, 師匠から直接伝授
   されるものであって, インターネットでは伝えることはできないと書いてあり
   ました。というのは「秘伝」なるものは, とても微妙なものだからだそうです。
   「秘伝」というのは, 本当に微妙なものですか。としたら貴倶楽部は, この問
   題をどのようにクリァーしているのですか。』(気功大好き人間)


   ■ 答え ■
   
   『人をあっと驚かせる華麗なるマジックも, 「種」を知ってしまえば他愛もな
   いことのように映ります。一指禅功の「秘伝の技」も, Mr.マリックがマジッ
   クの種明かしするのと似ていると, メールマガジンで何度も書きました。マジ
   ックの「種」を知ったら, 一指禅功の「技」を知ったら, な〜んだということ
   になります。一指禅功の「技」に限って言えば, 直接教えなければ駄目だとい
   うほどの微妙な部分はありません。バーチャル気功道場には, 多数の会員の方
   が外気功を学んでいますが, 質問と疑問は寄せられても, どうしても理解でき
   ないという意見はいまだ聞きません。「秘伝の技」も図版や写真を使えば,イ
   ンターネットで十分伝えることができるのです。「気の視方」プレゼントと同
   じように,知ってしまえば他愛ないことなのです。
   ただし「種」と「技」には, 決定的な違いがあります。マジックの「種」は自
   分で必死になって考えれば, 正解に到達できないこともありません。しかし,
   一指禅功の「技」は, いくら考えても正解を出すのは不可能です。一人の人間
   の小さな一生涯の経験から, 導き出されるほど底は浅くはありません。一指禅
   功は, 千五百年の間, 多くの人々の経験と蓄積の上成り立っているのです。一
   指禅功の「秘伝の技」は, バーチャル気功道場で学ぶしかありません。




   ※気功やこのメルマガの内容に関して, ご意見やご質問がありましたら, 是非
   
お寄せ下さい。お待ちしています。
   
    Email aam13920@nyc.odn.ne.jp 編集 正田 竜二
  


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【バーチャル気功空間 気の世界】月刊
                                   
    発行元: 日本気功倶楽部
   監 修: 天地 一道
   編 集: 正田 竜二


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