並木克敏(天地一道)

「バーチャル気功空間 気の世界」

2001.05.05 創刊




第五章 気との遭遇
   
(05-04) 気功とヨーガ

新人(ホモ・サピエンス)の二つの環境適応 (No.56)

   

2004.03.30
   


    【「アフリカ単一起源説」 世界の四大人種 】
   
   
   
東洋を代表する健康法である,「気功」と「ヨーガ」を「世界の四大人種」の

   視点から眺めてみると,いったいどのような風景が見えてくるのであろうか。

   人種とは, 共通の遺伝的特徴をもつ集団であり, 「世界の四大人種」には, 一

   般に皮膚の色を基準として, ヨーロッパとその周辺の「コーカソイド」(白

色人種), サハラ砂漠以南の「ニグロイド」(黒色人種), ヒマラヤ以東のア

   ジアの「モンゴロイド」(黄色人種), そして先史時代には西アジアから東南

   アジアまで広く分布していたが, やがて辺境に追いやられてしまった「オース

   トラロイド」がある。最近のミトコンドリアDNAの研究では, これらの四大

   人種は, 10万年前にアフリカで誕生した新人(ホモ・サピエンス)を共通の祖

   先として, 6万年ほど前から世界各地に広がり始めた, その末裔と考えられて

   いる(アフリカ単一起源説)。私は, はるかな昔に学校でヒトの進化を, 猿人⇒

   ジャワ原人・北京原人⇒ネアンデルタール・旧人⇒クロマニオン・新人⇒現生

   人類へ至る単線的な進化と教えられたように思う。これは, 100万年以上前にア

   フリカを旅立った原人たちが、世界の各地で、互いに独立性を保ちながら、原

   人⇒旧人⇒新人という段階を踏んで, 現代人に進化したという仮説に立ってい

   る。ところが, 今日主流になっている「アフリカ単一起源説」では, ジャワ原

   人も, 北京原人も, ネアンデルタール人も, みな絶滅種であり, 私たちの祖先

   ではないことになる。この説が正しいとすれば, 「四大人種」の皮膚の色だけ

   でなく, 背丈や体毛などの身体的な特徴も, わずかここ3〜5万年前以降に形成

   されたということになる。ヒトの形は, 意外にも短時間のうちに, 簡単に変わ

   ることに驚くばかりである。縄文時代の草創期は, 1万年前だからである。




【 モンゴロイド 】

   
   
アフリカを旅立った新人(ホモ・サピエンス)の一群は、6万〜5万年前に東

   方へ進み, 東南アジアに入って「モンゴロイド」と「オーストラロイド」に、

   別の一群は西アジアを北上して, 4万年前にはヨーロッパに広がり, クロマニ

   ヨン人=「コーカソイド」となる。「モンゴロイド」の一群は, 東アジアを北

   上して, 3万年前にシベリアに入り「北方系(新)モンゴロイド」を形成する。

   さらに, この「モンゴロイド」は, 北に進み氷河期で陸続きのベーリング海を

   渡り、1万5000年前にはアメリカ大陸に到達し, アメリカインデアンの祖先と

   なり, 1万2000年前には, 南アメリカ南端にまで到達することになる。「モン

   ゴロイド」の遥かなる旅立ちである。東南アジアにそのまま定住し続けた「モ

   ンゴロイド」を, 「北方系(新)モンゴロイド」と区別して, 「南方系(古)モン

   ゴロイド」と呼ばれる。それにしても, 「モンゴロイド」は, アジアやシベリ

   だけでなく, アメリカ大陸にもおよぶ, 地球上の圧倒的な地域に住みついてい

   た人種なのである。アフリカで誕生したホモ・サピエンスは, 3〜5万年前の年

   月をかけてその地域の環境に適応するように, ヨーロッパの「コーカソイド」

   アジアの「モンゴロイド」, そして, アフリカの「ニグロイド」を形成した。




【 「世界の四大人種」 環境適応 】

   
   
白色・黒色・黄色という最も目立った特徴である人種の肌の色は, その地域の紫

   外線や陽光の強弱に対して, メラニン色素の量を増減させることで適応してい

   る。紫外線の強い地域では,大量のメラニン色素によって, 有害な紫外線の作

   用から身を守り, 逆に陽光の乏しい北欧などの高緯度地帯では, メラニン色素

   の量を少なくすることで, ビタミン D 合成を行い「くる病」を防ぐ。今日, オ

   ーストラリアやニュージーランドに住む白人は, オゾンホールの破壊に伴う,

   紫外線による皮膚ガンの脅威に怯えている。また, 肌の色と相関関係にある目

   の虹彩の色素量は,絞りの役目をしており, 虹彩の色素量の少ない白人は, ア

   フリカでサングラスなしには, まぶしくて外に出られないという。日本人と違

   って, アメリカの男優のサングラス姿は, 決して伊達男のなせる技ではないの

   である。また, 白色・黒色・黄色人種の間には, 鼻の形にも際立った特徴がみら

   れる。白人の鼻が, 高くて幅が狭いのに対して, 黒人の鼻は, 低くて幅が広い。

   白人の住む寒い所では, 小さい鼻の穴から空気を暖めて気管に入れる方が有利

   であり,黒人の住む暑い所では, 広い鼻孔から大量に排気した方が, 体熱を発

   散させるのに効果的である。わずか3〜5万年前以降に, その地に定着した新

   人(ホモ・サピエンス)が, その環境に適応して「姿」を変えたのである。




   【「北方系モンゴロイド」 短足胴長 】   

   
   
ここまできてやっと, 「モンゴロイド」と「気功」との接点が, ちらりと見え

   始めてきた。東南アジアの「南方系モンゴロイド」が, 中国の東部を北上し,

   3万年前に極寒の地のシベリアに入り, 寒冷適応して「北方系モンゴロイド」

   となった。「北方系モンゴロイド」は、さらに北上してベーリング海を渡りア

   メリカ大陸に進出するが, やがて徐々に分布域を南方の中国北部にも広げ始め、

   その一部は縄文時代末期から弥生時代頃にかけて日本列島にも流入したと考え

   られている。この「北方系モンゴロイド」が, 極寒の地に環境適応したとき生

   じた, 最大の身体的特徴は, 他の人種と較べて「腕と脚」が著しく短いことで

   ある。それは, 恒温動物の哺乳類では「腕と脚」が, 体温を調節する器官であ

   るという事実と関係している。五臓六腑が収まっている身体の中心部は, 昨今

   若い人の「低体温」で問題になっているように, 体温が一度でも低くなると大

   切な酵素が生産されず, 身体の働きに支障が生じかねない。そのために, 「腕

   と脚」が体温調節の役割を担っているのである。極寒の地では体温を維持する

   ために「腕と脚」は短くなり, 逆に灼熱の地では体熱を放出するため「腕と脚」

   は長くなるのである。


   

【 気功とヨーガ 「立禅」と「座禅」】
   
   
  
 この環境への適応が, 人種の身体的な差異を生み, その結果として中国とイン

   ドに, 「気功」と「ヨーガ」という, アジアの二つの健康法を生みだした。冬

   の寒さの厳しい黄河流域に住みついた「北方系モンゴロイド」は、寒いがゆえ

   に基本姿勢を立式(立禅)とした。一方, 比較的暑いインダス川流域では, 暑い

   がゆえに基本姿勢を座式(座禅)としたのである。黄河流域の冬の寒さの中では,

   座式の姿勢はつら過ぎるし,インダス川流域の暑さの中では,立式は体力を過

   度に消耗させるだけである。これらの環境に合った「立禅」と「座禅」という

   基本姿勢に,「腕と脚」が短いのか,あるいは「腕と脚」が長いのかという,

   人種の身体的特徴が加わり,独特の鍛錬法が生まれた。インダス川流域の人々

   は,「腕と脚」が長いがゆえに,床の上で手足を自由自在にひねったり,足を

   首の後ろで組んだりと,アクロバットのごとき姿勢も可能である。ところがで

   ある,短足胴長のずんぐりむっくりの「北方系モンゴロイド」では,これらの

   ヨーガの姿勢は困難である。黄河流域の人々は,二本の足で立ちながら,無理

   のないゆっくりとした動きで,自己鍛錬する道を選んだ。「気功」と「ヨーガ」

   は,気功風土の違いからだけでなく,新人(ホモ・サピエンス)が,その地域

   に環境適応した身体的特徴とも深く関係していたのである。それにしても, わ

   ずか3〜5万年の間に, 白色・黒色・黄色人種の「四大人種」を形成し, そしてそ

   の後, アジアの北と南で二つの健康法を編み出した。ヒトとは, こんなにも簡

   単に変われるのである。貴方も気功で強靭な体質を変えてはみてはどうでしよ

   うか。貴方の体質を変えることは, 人種を形成することを考えれば, いとも簡

   単なことなのではないでしょうか。


   ※黄河流域の「北方系モンゴロイド」と気功が中心で,インダス川流域の人種
    と,ヨーガの担い手については,漠然と「南方」ということで,全く触れま
    せんでした。いずれ「ヨーガ」については詳しく書きたいと思います。
    なお,気功の基本姿勢が立式というのであって,座式,イス式,臥式も当然
    あります。




** 会員からのメッセージ **********************


『磁場の中にいるような感じ』(横浜 学生♂)
   
   『みなさん, こんにちは。僕はつい一ヶ月前に入会した新米です。馬歩椿を朝
   晩30分ほどにやっています。最初のうちは変な格好していると, 周りの人に
   笑われました。でも最近は馬歩椿していると, 僕のそばにくると体がひびれる
   と言います。自分でも磁場の中にいるような感じがしてきました。わずか一ヶ
   月でこんな反応があるのですから, これからが楽しみです。』


   『「内勁外発三大功法」は素晴らしい』(東京 武術家♂)
   
   『はじめまして, 外気功初級を終了した若輩者です。最後半に, 気功師のため
   の一指禅功の「内勁外発三大功法」を教えてもらいましたが, これは素晴らし
   いものでした。「三大功法」を終了した後に, いくつかの外気治療の指導を受
   けました。私にできるのかどうか半信半疑でしたが, 手順通りに試してみまし
   た。これが驚くことに, できるんですね。長年の肩凝りが治ったという人, 椎
   間板ヘルニアの痛みが消えたという人。うれしくなりました。私の武術の先輩
   で, 数年前まで一指禅功の教室に通っていた人がいましたが, バーチャル気功
   道場の「内勁外発三大功法」の内容と同じだそうです。インターネットの通信
   講座というと, 内容に少し不安を感じますが, これで安心して続けることがで
   きます。内容に偽りなしです。素晴らしい。』
  



   ** 購読者コーナ **************************


□ 質問 「手ゆび気功と「一指禅功」は同じ?」□   
   
   『健康関係の雑誌に「手ゆび気功」というのが載っていましたが, これは一指
   禅功と同じものなのですか。「一指禅功とは」のメールマガジンの中で一指禅
   功の鍛錬法は, ひたすら指を降ろすだけと書いてありました。テレビでもとき
   どき「手ゆび気功」が紹介されています。違いがあったら教えて下さい。』
   (大分 主婦♀)


   ■ 答え ■
   
   『「手ゆび気功」についてすべて知っているわけではありませんが, 「健康」
   という雑誌に載っていた「手ゆび気功」を読んでみると, 一指禅功とは全く違
   うもののようです。一指禅功が指を降ろす目的は, 指を降ろすことで, 指の中
   を走る経絡を刺激して, 身体全体の気の流れを調整することにあります。それ
   に対して, 「健康」の中の「手ゆび気功」は, 指を降ろすことで, その付近に
   あるツボや反射区を刺激することに狙いあるようです。これはツボ療法の一種
   で, 一指禅功の鍛錬法とは似ていますが, 全く別種のものといえます。高血圧
   症などの治療のために降ろす指の種類が, 一指禅功とはまるで違います。』
   

   
                        

   ※気功やこのメルマガの内容に関して, ご意見やご質問がありましたら, 是非
   
お寄せ下さい。お待ちしています。
   
    Email aam13920@nyc.odn.ne.jp 編集 正田 竜二
  



      
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        【バーチャル気功空間 気の世界】隔週  
                                   
    発行元: 日本気功倶楽部
   監 修: 天地 一道
   編 集: 正田 竜二


※「バーチャル気功空間 気の世界」に掲載された内容を無断で複写、転載、転送および引用することを禁止いたします。なお、お友達の方へ紹介の為の転送は大歓迎です。           

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