並木克敏(天地一道)

「バーチャル気功空間 気の世界」

2001.05.05 創刊




第四章 気と社会
   
(04-10) 文明の進歩と不幸の拡大

IT革命と過労 (No.50)

   

2003.09.08
   


   【光るデスプレーの登場】    
   
   
   
情報化時代に入ってから職場の風景は一変した。大企業のオフィスから, 町の

   小さな工務店まで, デスクの上には他を圧して堂々と, コンピューターだけが

   置かれている。ここにはかつて, 黒い表紙の帳簿と黒いポールペンが, ひっそ

   り並んで置かれていた。それが1990年代になると, あっという間に, ボールペ

   ンはキーボードに, 帳簿はディスプレイに置き代わってしまった。今やコンピ

   ューター操作は, 字を書くことと, 足し算・引き算の計算能力と共に, 情報化

   社会を生きる現代人の常識となってしまった。コンピューター操作ができなけ

   れば, 年齢にかかわらず職業選択の幅は, かなりせまいものになってしまって

   いる。従来の「紙」から, 光る「デスプレー」への変化は, 人々に何をもたら

   しただろうか。便利で効率的で仕事の生産性が上がったという, 明るいプラス

   面だけだろうか。コンピューターの普及は, 日本人をある面で二極化させてし

   まったようにもみえる。



  
 【強烈な眼球疲労】

   
   情報化時代に入って, コンピューターから恩恵を受ける職種と, 逆にコンピュ

   ーターから被害を受ける職種とに二極化された。たとえば, 大学の研究室のよ

   うに, コンピューターを道具として利用できる人々は, 膨大な計算を一瞬にし

   て処理してくれるのだから, コンピューターは神様である。ところが, 伝票な

   どの情報をコンピューターにひたすら打ち込むことを職業とする人々は, 事情

   がたいぶ違うようである。家庭にいて, テレビ画面を毎日7〜8時間見る人は,

   ほとんどいないであろう。オリンピックなどで, たまたま長い時間にわたり画

   面に釘付けになることもあるが, そのあとで目が痛くて後悔したことがある。

   ところが, 職場ではディスプレイを毎日見続けなければならない。どこのでも
 
   職場でも, コンピューターとにらめっこの日々である。テレビならコマーシャ

   ルが, 目の休憩タイムになるのだか, 職場では「間」さえも存在しない。コン

   ピューターの先生は, 1時間毎に10分ほど休むようにと言うが, 不況の時代に

   は, 人減らしで仕事量が増えているので, そんなことをすれば無報酬の残業が

   待っているだけである。コンピューターを実際に使ってみて, 最初に経験する

   ことは強烈な「眼球疲労」であった。



   
【首や肩の凝り】

   
   帳簿とポールペンからデスプレイとキーボードへの筆記用具の変化は, 目だけ

   でなく首や肩にも多大な負担をかけるようになる。帳簿とポールペンの時代に

   は, 伝票を指サックでめくりながら, ポールペンで帳簿に記入していた。この

   動作では首は, 小刻みながらけっこう左右に動いていた。ところが, キーボー

   ドとデスプレイの場合, 目はデスプレイを凝視したままである。指はキーポー

   ドの上を, ただひたすらに動く。コンピューターに打ち込むべき情報は, 脇に

   あるので, 首を振らずに目の玉を動かせばよい。ここでは, 目と手指が分裂し

   てしまったのである。目と指だけがもくもくと動くだけで, 首も肩も動かさな

   い, 静止のごとき異常な状態が, 長時間にわたって続くのである。しかも, コ

   ンピューターは, その前に座る人を強引にデイプレイの中に引きずり込み, ゲ

   ームに戯れる少年のように, 他者との関係を消してしまうという傾向がある。

   帳簿とポールペンの時代には, 隣や前の同僚と会話を交わす余裕があった。し

   かし今はない。このような姿勢を続けるかぎり, 首や肩が凝らないわけがない。

   かつて, デスクワークをホワイトカラー, 現場をブルーカラーと呼んで差別し

   ていたが, 今では心身共にどちらがベターか。



   
【「眼球疲労」の新しい解消法の必要性】
   
   
   眼球疲労と首の痛みや肩凝りに, 同じ姿勢を長く続けることから, 腰に負担が

   かかることで, これに腰痛も加わる。「眼球疲労」と「肩凝り」と「腰痛」が,

   情報化時代におけるコンピューターの三大障害といえそうである。コンピュー

   ター操作を職業とする人が, この三つの障害をすべて背負い込んだら不幸であ

   る。このうち「肩凝り」と「腰痛」は, 一指禅功の自己保健法にもあるし, 指

   圧や針による改善の方法もある。あるいは, ストレッチや運動療法もあるから

   救いがある。しかしながら, コンピューター操作に伴う「眼球疲労」の解消法

   は, 現在の時点ではあるとは言い難い。今ある「眼球疲労」の解消法は, 実は

   活字時代ものであって, コンピューター時代のそれではないのである。活字と

   光るデスフレイでは, 目の疲れの度合いは, 較べようもないのである。学校を

   卒業して就職し, コンピューターの操作を始めると, 急速な視力の低下を経験

   することになる。事態は深刻である。テレビでは健康番組が花盛りであるが,

   その内容のほとんどがダイエットと血液サラサラに偏っていて, 「眼球疲労」

   を取り上げることはない。「眼球疲労」は, 情報化時代の最大の障害であり,

   その解消法は現在, 最も必要とされているテーマではなかろうか。解消法を必

   要としている人は, おそらく数千万人におよぶものと推定される。現在, 当倶

   楽部では, 「眼球疲労」の新しい解消法を, 試行錯誤しながら創りつつある。

   完成したら「慢性病防治法専科」の一つに加えたいと思う。

       
  

** 会員からのメッセージ ********************


      『外気功は素晴らしい』(青森 H.Sさん♂)
   
   『初めまして。私は多少なりとも武術をたしなむ者です。県内には外気功を
   教えてもらえる教室がないので,半信半疑でバーチャル気功道場に入会しま
   した。一指禅功は,馬歩椿が基本ということなので,毎日立ち続けてきまし
   た。足腰は丈夫な方なので,立つことにはあまり苦になりませんでした。そ
   れよりも動きが少ないので退屈してしまいました。内気功を一年間やってみ
   て,このまま外気功に進んでいいものかと迷いました。内気が充実している
   という実感がなかったからです。それでも思い切って,外気功の初級に進み
   ました。最初の2,3ヶ月は内気功と大差なく,物足りなさを感じていまし
   た。ところが,中盤から素晴らしい功法が,次々と送られてきました。頭の
   後ろに光輪ができるという「仏光功」には,本当かと疑いました。練功して
   から三週間目に部屋を暗くしたところ,女房はボッとした光輪が頭の後ろに
   見えるといいます。本当でした。外気功は気功師養成講座とあるように,内
   気功とはレベルが違いますね。その他,外気治療の方法やテクニックなど,
   気功師に育てられている自分を今感じています。


   ※倶楽部から一言
   
   内気功の目的は,一つには健康の維持と病気の回復です。もう一つは気功師
   になるために,内気を強化・充実させることです。外気功は,内気功を土台
   として自己の潜在能力を開発するものです。一指禅功は,外気功にこそ本領
   発揮の舞台が用意されているのであって,外気功の経験なしに一指禅功を語
   ることはてきないのです。内気功の練功だけでは,一指禅功を少しかじった
   という程度にし過ぎません。是非,外気功を体験して下さい。
      
             
  
** 購読者コーナ ************************
 
 
 □ 質問 □ 
   
   『中国で気功を学んできた人から一年ほど気功を習いました。先日, お腹の具
   合が悪かったので, お腹に向けて人差し指の先から気を出してみました。しば
   らくすると, 吐き気と激しい下痢に見舞われました。どうしてこんなことがお
   こるのでしょうか。近所の人は, 今は引越していないものですから, 教えて下
   さい。』(秋田 YTさん♀)

   
   ■ 答え ■   
   
   気功の治療には, 西洋医学とは方法が違いますが, 守らなければならない厳密
   な法則性があります。けっしてどんぶり勘定でやっているわけではありません。
   手の平から発気(気を出す)する場合と, 指先から発気する場合とでは, 使うツボ
がまったく違います。特に, 指先から発気する場合には, 私どもは細心の注意を
促します。発気に関して書かれた書物で, 良書と悪書の違いは, 発気の方法を
同じように解説してあるのですが, 発気できる身体の部位や, 発気上の注意事項
が記されているかどうかにあります。お腹に向けての指先からの発気は, 禁止事
項です。絶対にやってはいけないのです。悪書というのは, 気は出しっぱなしで,
収め方も一切ありません。もしかすると, 本人も知らないのではないかと疑いま
す。自己流でやるのはやめましょう。
                  


   ※気功やこのメルマガの内容に関して, ご意見やご質問がありましたら, 是非
   
お寄せ下さい。お待ちしています。
   
    Email aam13920@nyc.odn.ne.jp 編集 森澤陽子(准指導員)
  



      
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        【バーチャル気功空間 気の世界】隔週  
                                   
    発行元: 日本気功倶楽部
   監 修: 天地 一道
   編 集: 森澤 陽子


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