並木克敏(天地一道)

「バーチャル気功空間 気の世界」

2001.05.05 創刊




第2章 潜在能力の開発
   
   
(02-08) 気功は技術
技術故に, 磨けば誰でも落ちこぼれなし (No.24)

   

2002.04.29
   


   【落ちこぼれの正体】
   
   
  
 「落ちこぼれ」という言葉は, 経験した人にとっては村八分にされたような,

   あるいは自分だけが取り残されたような嫌な響きがある。学力における「落ち

   こぼれ」というとき, その基準となるものが「IQ(知能指数)」といわれるも

   のである。「IQ」は「記憶力+知識量」という形をとって具体的に出現する。

   二昔前までは, 「IQ」の高さで人間の価値が決められていたので, 当然のこと

   として大量に社会的な「落ちこぼれ」が産出された。本来, 人間には多面的な

   生き方や能力があるものなのだが, 社会的な上昇志向を生き方の中心におき,

   その手段として「IQ」を基準とする限り「落ちこぼれ」は止まらない。これが

   戦後の高度経済成長を支えた精神的支柱であった。たかが脳の一部の機能にし

   か過ぎないのにである。しかし, 最近になって社会的な上昇志向を達成したは

   ずの人が, 無責任と無能と貪欲の醜態を曝け出し, 表舞台を次から次へと退場

   していくのを私たちは見てしまった。




   【気功は競争にあらず】

   
   
気功にはもともと「落ちこぼれ」という言葉がない。気功は, 脳の一部だけを

   働かせてどうこうするものではないし, 相手との競争を目差すものでもないか

   ら, 「落ちこぼれ」は存在しない。気功の目的の一つに健康の維持や病気の回

   復があるが, 病人同士が励まし合いながら共に生きるということはあっても,

   競り勝ってガッツポーズをとったという話しは聞かない。また潜在能力の開発

   でも, ある能力については比較的短期間にマスターできる人もいれば, かなり

   の時間を要する人もいる。これが別の能力開発では, 逆になることもある。気

   功では個人差が大きいので, 競争してもあまり意味がない。こんな話しがある。

   私の後輩に柔道三段の猛者がいたが, 一見すると内気が充実しているようなの

   だが, 外気治療の段階になっても彼は一向に内気が出ない。大勢いる中で, た

   だ一人だけ気功治療がまったくできないのである。人並み優れた体格の持ち主

   だけに, シュンとしている姿は哀れに思えた。それでも, 彼はめげずに休むこ

   となくトレーニングを続けた。それから数年後, いったん内気が出始めると,

   堰を切ったように内気外発(内気を出すこと)による秘伝の技を次々とマスタ

   ーしていった。あっという間に私たちと同じ水準に達してしまった。このよう

   に, 病気の回復や潜在能力の開発は, 焦らず機が熟すまで淡々とトレーニング

   を重ねて静かに待つのみである。ある日, 突然それは向こうからやってくるも

   のなのだ。




   【身体全身の作用】

   
   
人間の営みは「IQ」のように身体のごく一部の働きだけに依存しているわけは

   ない。人間が生きていられるのは, 日々新陳代謝を繰り返す60兆個の生命体で

   ある細胞の営みの結果である。筋肉細胞, 神経細胞, 骨細胞などが正常に働く

   ことによって生命が維持されているのである。その点で人間は, 細胞のトータ

   ルな作業の上に存在しているのであり, 主役は一体誰なのか, どこにいるのか

   と考えることもある。気功は, この身体全体に働きかけるのである。身体全体

   といっても, スポーツのような全身運動を意味しない。60兆個の細胞で作られ

   た五臓六腑や脳をはじめ, 筋肉, 神経, 血管, 骨, 関節とすべての器官や組織

   に働きかけるのである。鉄棒の懸垂のように身体の一部であるならば, 簡単に

   優劣もつくかもしれないが, 全身への作用のゆえに, 一部の機能が多少劣って

   いたとしても, それをトータルで補うことができる。そのために, 気功ではト

   レーニングを続けさえすれば, 「落ちこぼれ」はきわめて少ないのである。す

   べての人が頂点を極めることはできないにしても, 誰でも想像を超えた驚くほ

   どのレベルまで到達することはできるのである。




   【気功は経験科学】


   
気功に落ちこぼれが少ないのは, 身体全身への働きかけであると共に, その働

   きかけの仕方が極めて具体的な技術によるからでもある。気功は, 姿勢や動作

   あるいは呼吸を一寸変えるだけで, 人体に与える効果が違ったものになってく

   る。最も単純な例を挙げてみよう。立禅(馬歩とう)の姿勢をとるとき, 足の

   形だけで血圧の調整ができるのである。たとえば, 指先を内側につぼめて立つ

   と血圧は上がり, 逆に指先を外側に開くと血圧は下がる。呼吸も同様に, 吸う

   と吐くの加減次第で自律神経が調整できる。吸う時間を長く, 吐く時間を短く

   すれば交感神経が高められて脈拍数が早くなり, 逆に吐く時間を長く, 吸う時

   間を短くすれば副交感神経が刺激されて脈拍数が遅くなる。これから試合に臨

   むとき, 人は自然に深呼吸するのはそのためである。これが気功における「経

   験的」な人体科学なのである。中国人が数千年の長い時間をかけて発見し, 経

   験に裏打ちされた人体科学が, 気功にはどっさりと詰めこまれている。




   【気功は技術】

   
   
気功のトレーニングは, 経験科学に裏打ちされた技(技術)をただ繰り返し行

   うだけである。そこには「コツ」はあるけれど, 霊とお話しするような神秘性

   はない。即物的な動作をある一定期間こなし終わったとき, 一つの潜在能力が

   身に付くのである。これは事後的に分かるのであって, トレーニング中はその

   兆しさえ感じることはない。まさに, ある日突然なのである。




*** 会員からのメッセージ ********************


** 購読者コーナ ************************
 
 
  
   □意見□
   
   『「気の見方」を送っていただきありがとうございました。私は気について半信
   
半疑でいましたが, 教えてもらった方法で試したところ, 指先から白い帯状のも
  
 のが出でいるのが見えました。本当に気というのは存在するのですね。驚きまし

   た。しかし, 主人にも教えたのですが, 見えないといいます。どうして主人には

   見えないのでしょうか, 個人差があるということなのでしようか。』

   (島根 S.Sさん) 


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        【バーチャル気功空間 気の世界】隔週  
                                   
    発行元: 日本気功倶楽部
   監 修: 天地 一道
   編 集: 森澤 陽子


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