並木克敏(天地一道)

「バーチャル気功空間 気の世界」

2001.05.05 創刊




第2章 潜在能力の開発
   
   
(02-03) リラックスの効能 
リラックスすることが万病の予防 (No.19)

   

2002.02.15
   
   

   【最強のストレス時代の到来】
   

  
 リラックスすることが, ますます難しい時代になっている。現在を近代日本史

   という視点から大風呂敷を広げて見れば, 戦後に形成された旧秩序が音を立て

   て解体し始めているように見える。新旧勢力の綱引きによる政治の混迷, デフ

   レ下で増大する一方の不良債権に悩む経済, 国際競争力を失いつつある産業,

   学級崩壊を前にした学校教育の無力感, 子供の食事さえコントロールできない

   家庭と, どこを見てもぎしぎしとした不協和音が聞こえてくる。戦後の高度経

   済成長を支えてきた旧秩序が, 構造疲労を起こし, もはや付け焼刃の政策では

   対処できなくなってしまった。創造的破壊といっては, 他人事過ぎるかもしれ

   ないが, 根本から出直さなければならない時期にきている。今, 私たち日本人

   は, 先の見えない産みの苦しみの真っ只中にいる。戦後におとずれた最大最強

   のストレスの時代の到来である。それだけに, この時代を生き抜くために「リ

   ラックス」することが, 切実に求められているのである。



   
【自律神経のバランス】
   

   外部環境が, ストレスに満ち満ちているとすれば, 人体の内部環境の方はどう

   であろうか。人間には, 生命の恒常性を維持(ホメオスタシス)するために,

   感覚神経や運動神経とは別に, 自分の意志とは関係なく働く「自律神経」が備

   わっている。自律神経は, 内外からの刺激に対して, 血圧、呼吸、体温、心拍

   などを調節するため, 一日中, 自動的に信号を送り続けている。この神経伝達

   ラインには二通りあり, 一つは「交感神経」と, もう一つは「副交感神経」で

   ある。通常, 昼夜12時間周期で交互に働いている。活動時には交感神経が働

   き, 脈拍数を増加させ血圧を上げ, 一種の緊張状態になる。逆に, 弛緩時には

   副交感神経が働き, 拍数を減少させ血圧を下げ, 一種のリラックス状態にして

   いる。この緊張とリラックスが, 交互にスムースに切り替われれば問題がない

   のだが, 経験的にも分かるように交感神経がやや優位なのである。直ぐ緊張す

   ることができるが, リラックス状態に入るには時間がかかるのである。緊張状

   態が長く続き, 自律神経のバランスが崩れれば, 「自律神経失調症」となる。

   自律神経は, 多くの内臓とつながり, その機能を調節しているので、症状は多

   種多様なものとなる。



【リラックス もう一つの基本原理】   
  
 
   ストレス解消は, 時代の要請であると共に, 身体が求めて止まない根源的な動

   物的欲望なのである。一般に, 気功のトレーニングさえすれば, その結果とし

   て自動的に「ストレス」が解消されると考えられるているようだが, そうでは

   ない。気功の中で「リラックス」は, 特別の意味を持っている。トレーニング

   をする準備段階から終了まで, 心身のリラックスが一貫して要求される。トレ

   ーニングの15分前には仕事を中止する, という注意事項があるが, これは身

   心を緊張状態から弛緩状態へ導く手立である。トレーニングする際に静かな場

   所を選ぶのも, 騒音が心のリラックスを妨げないようにするためである。リラ

   ックスへの要求は, トレーニングする外部環境だけでなく, 姿勢や形そのもの

   にも及んでいる。前回の「上虚下実」で, 上半身の力を徹底的に抜いてリラッ

   クスを計ると書いたが, それは力を抜くだけではない。腕や手指の形は, 筋肉

   が緊張しないように, さり気なくその形が選ばれているのである。トレーニン

   グしたからリラックスするのではなく, 始めから心身のリラックスへの心構え

   がなされ, それをもってトレーニングに入り, さらなるリラックスを計るので

   ある。この心身のリラックスが, 「上虚下実」と並ぶ気功のもう一つの基本原

   理といえよう。そのとき, 気血はスムースに流れ, 身体の隅々までもが滋養さ

   れるのである。



【緊張は何をもたらすか】   
   

   ここまでの話しなら常識的で読者各位は, 読むんじゃなかったと思うかもしれ

   ない。読者の期待を裏切らないために, リラックスとは反対の問を発してみよ

   う。練功のとき「緊張したらどういう現象が起こるのか」ということである。

   リラックスについては, 多くの気功書に書かれているが, 緊張したらどうなる

   かについては, あまり目にしていないように思われる。練功中の緊張といって

   も色々な原因がある。ドアなど大きな音による「驚き」, 悪さする子供への

   「怒り」, 仕事や家庭上の「悩み」, 健康や病気への「不安」などがあろう。

   ここでは, 指導していてしばしば経験する「悩みや不安」に伴う緊張(ストレ

   ス)について触れたいと思う。人は練功に入ると身体に温熱感を感じ, うっす

   らと発汗してくるのが普通である。しかし, 心の中に深い悩みや不安を宿した

   まま練功すると, 身体の一部が冷たくなることがある。下半身だけが冷えると

   か, 左半分だけが冷えるとか, 左腕だけが冷えるとか, あるいは極端な例では

   人差し指だけが冷たくなるという現象が現れることもある。同じ部位が日常的

   にも冷えているなら, 冷え性ということになるが, そうではなく練功するとき

   だけ出現するのである。気功の, 生命の不思議である。中医学は, その原因を

   気血の循環障害, 陰陽のバランスの崩れにあるという。血圧計などの測定器が

   ない時代, これらの現象と症状の間の膨大な因果関係を蓄積し, 経験的に基づ

   いて体系化させたのである。それにしても, 「ストレス」は中医学的にも, 万

   病の元なのである。




*** 会員からのメッセージ ********************


『自分の気が見えました』(OSさん♂)

   『こんにちは。入会してから三ヶ月が過ぎました。近況をお知らせします。第

   四巻目の巻末に, 自分の気が見える「気の観察法」という項目あり, 私も試し

   てみました。意外にも, 中指の先から出ている残像のような, もやもやが見え

   ました。女房に見てもらうと, 五本の指先から白い帯状なものが出でいるとい

   います。気が見えるものとは知りませんでした。不思議な気持ちです。それと

   最近になって感じていることがあります。私はお酒をたしなみますが, 以前は

   二日酔いで悩まされることが多かったのですが, このところそういうこともな

   くなりました。どうして二日酔いがおこらないのでしょうか。肝臓の働きがよ

   くなるのでしょうか。そんなことも, これからのメールマガジンのテーマにし

   て下さい。』



   ** 購読者コーナ *************************
   

   
□意見□
   
   『私も気功をやっていますが, 「上虚下実」の姿勢について詳しい説明をして

   貰ったことがありませんでした。前回のメルマガを読んで, 「上虚下実」がこ

   んなにも奥深いものだということを知りました。腰を低くすると, なぜ上半身

  の反応が強くなるかということは, 経験的には知っていたのですが, 理屈

が分かりませんでした。納得しました。これからも質の高い情報を, 私たち

のような気功愛好家のためにも配信して下さい。』(東京 Nさん)

   


   ※気功やこのメルマガの内容に関して, ご意見やご質問がありましたら, 是非
   
お寄せ下さい。お待ちしています。
   
    Email aam13920@nyc.odn.ne.jp 編集 森澤陽子(准指導員)
  



      
〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓
   
        【バーチャル気功空間 気の世界】隔週  
                                   
    発行元: 日本気功倶楽部
   監 修: 天地 一道
   編 集: 森澤 陽子


※「バーチャル気功空間 気の世界」に掲載された内容を無断で複写、転載、転送および引用することを禁止いたします。なお、お友達の方へ紹介の為の転送は大歓迎です。           

     〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓








■私の気功の世界■


ネット通信教育 「一指禅功日本 バーチャル気功道場」

http://issizen.michikusa.jp/



「一指禅功日本 東京・小岩リアル気功教室」

http://katutoshinamiki.suichu-ka.com/



YouTube 「一指禅功秘術 吊手術」

https://www.youtube.com/watch?v=W5J6RmbjpQI&feature=youtu.be


Twitter 「連載 気を考える」

https://twitter.com/mikenekobusu




■私の趣味の世界■



すまい&町並み 今昔物語

「第一章東京下町風景への旅」

「第二章同潤会アパートへの旅」








バックナンバーへ戻る