並木克敏(天地一道)

「バーチャル気功空間 気の世界」

2001.05.05 創刊




第一章 入門編
   
   
(01-14) 気功界の裏事情 (その二)教え方学び方
(2)独学不可能なシステム
(No.14)

   

2001.11.02
   
   

【入門書の物理的限界】
  
 
   
気功の入門書は広告塔の性格が強いと前回書いたが, 気功の書物がすべてそう

   であるわけではない。たとえば, 林厚省著「中国気功法」および「実践中国気

   功法」(たま出版)を読めば, 気功に関する造詣の深さがうかがわれる。それ

   と同時に, この書物は指導する立場の人にも, 副読本として大変参考になると

   思われる。私が広告塔と言ったのは「入門書」についてであって, 気功全般に

   関してのことではない。

   広告塔という性格から導き出される結論は, この種の本を読んで気功のトレー

   ニング法をマスターすることはできないということである。気功をマスターで

   きるようには, 当初から編集されていないからである。入門書がどうしてみん

   な広告塔になってしまうのか。 出版に伴う印税収入と授業料との間のギャップ

   も原因の一つであるが, もっと単純な物理的理由がある。それは「本」という

   メディアに起因している。功法を読者に正確に伝えようとするとなると, きわ

   めて動きの少ない私共の流派でさえ, 写真や図の枚数は決して少なくない。こ

   れが太極拳などの動功になると, 動きが多いために写真だけで, その動作を正

   確に伝えることは至難の技となろう。動作の過程を省略して編集せざるをえな

   い。そうでなければ, 紙面全体が写真や図で埋め尽くされてしまうからである。

   このように本来, 気功は「本」というメディアとはあまり馴染まない存在なの

   である。読者に情報を正確に伝えることができないのであれば, 「入門書」は

   初めからトレーニングすることを前提としないで, 自分の教室の広告塔にした

   方が賢明である, と考えても責めるけにはいかない。
   
   

   
【気功ビデオも広告塔】
  

   それでは「ビデオ」はどうであろうか。これは動画であるから, 全体の流れか

   ら個々の動作までもすべて了解できよう。しかも, 何度でも好きなだけ再生し

   確認できる。さらには, 画面上の演者の動きを真似すれば, 活字を追わなくて

   もこと足りるのである。「ビデオ」は「本」というメディアに固有な限界を超

   え, 新たな可能性を気功に与えた。常に技術革新は, 従来の常識を変える。気

   功のビデオは, 教室という時間と空間の制約から個人を開放した。これで教室

   に通わなくても, 誰もが気功を独学でマスターできるとさえ思われた。

   しかし「ビデオ」でトレーニングを始めるてみると, すぐに思わぬ大きな大き

   な欠陥に出会う。トレーニングに関して生まれた数々の疑問に答えてくれる窓

   口が, どこにも無いのである。ビデオのカバーには, 出版社の住所と電話番号

   が記載されていても, 某先生の連絡先がない。たとえあったとしても, インタ

   ーネット時代の時間感覚では, 郵便では遅過ぎるのである。どんな気功でも初

   心者がビデオを見ただけで, すべてが理解できるほど単純なものはない。また

   , どんなに正確にトレーニング法を伝えようとしても, 必ず不備な点はいくつ

   か残ってしまうものだ。これは私が今, 経験し反省していることでもある。ビ

   デオを見て貴方が, 正確なトレーニングをしようとすれば, いくつもの疑問が

   生まれてくるのは当然のことである。それを解決する手段がなければ, 疑問を

   抱えたままトレーニングを続けることはできない。

   気功は, コンピューター以上にアフターケアーの必要な分野に違いない。間違

   ったままトレーニングをすれば, 偏差さえ生じかねないのである。しかし気功

   のビデオは, やりっぱなし, 売りっぱなしである。ひどいときには, 本人がと

   っくに帰国してしまって, 日本にはいないのである。これではトレーニングを

   して貰おうという意思は, まったく無いように見える。
   
   

  
 【独学できないシステム】
   

   このようにみてくると, 気功の「ビデオ」も入門書と同様に広告塔であること

   が分かる。両者共に, 初めからトレーニングをすることを前提としないで, 作

   られていることが理解できよう。読者を自分の気功教室に導くためのコマーシャ

   ルであることを。広告塔としての入門書やビデオは, 初めから独学する対象で

   はないのである。もし仮に, 読者自らトレーニングをして貰おうと, 手を抜く

   ことなく丁寧に書かれ, 作られた良心的な入門書やビデオが存在したとする。

   実際に存在しているのだが。それでもそこには, 独学するには超え難い高い壁

   が立ちはだかっている。

   それはこういうことである。この良心的な入門書を参考にしてトレーニングを

   し, 気の存在を実感した人が, さらなるレベルアップを求めて著者の教室へ通

   ったとしよう。そのとき, 教室で指導を受けた内容と, 入門書のレベルが同程

   度であったらどうであろうか。それならば, 教室に通う必要は無いし, 誰もが

   時間とお金の無駄である, と考えるであろう。当然のことなのだが, 入門書の

   内容と教室のレベルは, 実際にはまるで違うのである。肝心で大切なことは,

   教室の中で師匠から弟子へ公開されるが, 出版物ではあえて触れずに伏せてお

   くのが, 気功世界の「常識」なのである。その点では見事というほど部外者に

   対しては, 完璧過ぎるほど閉じられている。こういう事情を知らないで, 出版

   物などを通じて気功を独学しちゃおうというのは, 非効率でかつ低レベルとし

   かいいようがない。気功の世界は, 独学ではものにできないシステムになって

   いるのである。
   
   

   
【秘伝の術】
   

   教室内の教えは, 活字として一般に公開したがらないばかりでなく, レベルの

   高い流派では, トレーニング風景の撮影禁止は勿論のこと, 見学さえも許され

   ていない。なぜなら, そこには不用意に拡散して欲しくない, その流派独特の

   「秘伝の術」があるからである。この「秘伝の術」は, さらに情報化社会が進

   展したとしても, 恐らくこれからも活字などで一般公開されることはないであ

   ろう。多くの「秘伝の術」の中には, 自律神経の働きを自らコントロールして

   しまう「術」もあるし, あるいは約束事を厳密に守らないと, 生命の危険さえ

   伴う「術」もある。

   最初にこの「術」の一つを教わったとき, こんなに単純な動作で人が動くもの

   なのかと驚いた。それは, ユリ・ゲラーのあのもったいぶった態度とは違い,

   ちょうどMr.マリックがトリックの種明かしをするのに似ている。実にあっけら

   かんとしている。しかし, 師匠からこのお教えを乞わなかつたら, 自分で思い

   つくこともなく, 何もすることはできなかったであろう。「秘伝の術」とは,

   このように単純であっけらかんとしたものなのだ。当方の気功では, この種の

   秘伝の術は数え切れないほど沢山あるが, 不特定多数に対して百パーセント非

   公開である。そればかりか, トレーニング法でさえ5パーセント程度しか公開し

   ていない。独学は, 全くお呼びでないのである。
   


  
 【最後にコマーシャルです】
   

 気功の流派の選択は, (1)レベルの高い流派であること。 (2)初級から中級

・上級までのコースがあること。 (3)「秘伝の術」を取得できること。 (4)アフ

ター・ケアが整っていること。 (5)安価であること。以上を基準に, 教室に通え
る環境
でないならば, 是非とも日本最初のインターネット気功講座である「バーチャル

気功道場」への入会をお勧めします。来年初めには, 一年間内気功のトレーニ

ングに励んできた一期生が修了する予定です。「導引法」で人を動かすことが

できたかどうか, 報告してもらいたいと思っています。


  
 
   ** 購読者コーナ *************************
   

  
 □質問□
   
   『私は今アメリカに住んでいます。知合いに中国人のおじさんがいます。この
   
おじさんが20年前台湾で働いていた時、ある日同僚の一人が、「小さい頃か

   らカンフーをズウっとやってるんだ」といって、いきなりおじさんのマッチ箱

   を手にとり、手で気のようなものを入れるしぐさをしたらマッチ箱の中のマッ
 
  チがみんな折れていて驚いたと言っていました。こういう事って本当にできる
 
  んですかね。これはちょっと興味本位の質問です。これからも楽しいメールマ

   ガジンを楽しみにしています。よろしくお願いします。』

(アメリカ在住 MHさん)
   

   ■解答■
   
   『結論から言えば, 気の力でマッチ箱の中のマッチを折り曲げることはできま
   
せん。ホームページにも書いておきましたが, 気で瓶の中の物体を空中移動さ
 
  せたり, 切った名刺を元通りにしたりすることは, 不可能なのです。気がその
 
  有効性を発揮させるのは, 主に人間などの生命体に対してです。ただ, 気の力

   で物体を動かすことは, 必ずしも不可能ではありません。』
  

 
   
※気功やこのメルマガの内容に関して, ご意見やご質問がありましたら, 是非
   
お寄せ下さい。お待ちしています。
   
   Eメール aam13920@nyc.odn.ne.jp 編集 森澤陽子(准指導員)

   
  
 
   
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        【バーチャル気功空間 気の世界】隔週  
                                   
    発行元: 日本気功倶楽部
   監 修: 天地 一道
   編 集: 森澤 陽子


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「一指禅功日本 東京・小岩リアル気功教室」

http://katutoshinamiki.suichu-ka.com/



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すまい&町並み 今昔物語

「第一章東京下町風景への旅」

「第二章同潤会アパートへの旅」








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