並木克敏(天地一道)

「バーチャル気功空間 気の世界」

2001.05.05 創刊




第一章 入門編
   
   
(01-12) 気功界の裏事情(その一)学び方教え方(2)続き (No.12)
   

2001.10.05
   
   
 
 【気功にレベル差は存在するか】
   

   
最近読んだ気功書には, 多くの中国人気功師が曖昧にして避けてきた「レべル

   差の問題」について, 次のように明言しているのを発見した。個人的な批判が

   目的ではないので, 著者と書名はあえて省略させて頂きたい。氏曰く『気功に

   はいろいろの功法があり,… 中略…どのようなものが高級功法で, どのような

   ものが低級功法かと区別する必要はない。功法にはただ適切か適切でないかの

   判断区別があるだけである』。まず著者は気功には, レベル差は存在しないと

   断言する。そして, あるのはその人にとって適切であるかどうかの判断だけで

   あると。この後者の気功の選択については『適切であるかの判断だけである』

   というのは正しい。病気別の気功もあるし, 高齢者向けの気功もある。動功も

   あるし, 静功もある。透視能力を専門に開発する気功もあるし, 癌治療専門の

   気功もある。人は自分に相応しい適切な基準によって気功を選べばよいのであ

   る。

   だが, 著者が気功にはレベル差は存在しないというとき, 実に不思議なレトリ

   ックを使うのである。次に引用するので, 答えを見る前に読者は一寸考えて頂

   きたい。氏曰く『それを漢方薬にたとえると, 薬用人参は高級な素材で, 気が

   不足したり, 気陰ともに甚だしく不足する病状に大へん効果があるが, それを

   感冒にかかっているときに服用すると, 逆効果を招くということである』。気

   功は『つまり適切なのかどうかというのが肝心な問題である。したがって高級

   といっても適応性と有効性があってのことである』。このトリックをお分かり

   頂けるだろうか。なお, 著者は気功のある有名な公的機関の理事クラスのお偉

   いさんである。

   
   

   
【奇妙なトリック】
   

   
一見すると理路整然と論を展開しているように見えるが, ここには巧妙なトリ

   ックが隠されている。この舞台には役者が三人登場している。薬用人参, 気虚

   (気の不足), そして感冒である。このトリックを種明かしすれば, 主役を薬用

   人参に仕立て, 脇役を気虚と感冒としたところにある。薬用人参は気虚には効

   くが, 感冒には逆効果であると。その反対に主役を交代させれば, このトリッ

   クはあっけらかんと見えてしまうのである。気虚を主役に抜てきして, 脇役に

   薬用人参を当て, 感冒には舞台から退場をしてもらう。このように置き換える

   と, 主役の気虚を治療する「最高級の素材」が脇役の薬用人参であるというこ

   とになる。すると次に, 気虚に効果のある薬用人参よりも「低級な素材」には

   どのようなものがあるか, という問題が当然のこととして浮かび上がってくる。

   なぜなら, つい最近まで中国では薬用人参を服用できる階層は, あまりにも高

   価なためごく少数に限られていたからである。「気虚」という症状は, 特権階

   級だけでなく, どの階層でも起こり得る。このように気虚を中心に置いた場合

   , 薬用人参のような最高級品から, 安い低級品の生薬まで, 多種多様に揃って

   いるのである。駄目押しをしてみれば, 薬用人参においても, ピンからキリま

   でレベル差があるというのは, 中国人の常識なのである。

   
   

   
【気功にはレベル差がある】
   

   
生薬の中にも高級な素材と低級な素材があるように, 気功の流派間にもレベル

   差が厳然と存在しているのである。十数年前, 木村太郎アナウンサーのテレビ

   ニュースで, 中国を代表する気功の流派のランクが紹介されたことがある。「

   なんでもランキング」が好きな日本国民なのに, それ以来ランク付けを目にし

   たことがない。どうしてなのだ。第三者機関によって, この種の情報が公開さ

   れないと学ぶ方は不幸である。こんな話しがある。あるとき三十歳代の健康そ

   うな男性が, 日本の気功界を背負うかのような熱い想いを私に話しをしてくれ

   たことがある。しばらくしてから, どんな気功をやっているのかと彼に尋ねて

   みた。すると答えは意外なものであった。彼は知らなかったようなのだが, そ

   れは高齢者向けの気功であった。三十歳代といえば, 気功では一番の伸び盛り

   の年代である。知っていてやるのであれば, 言うべきものもないが, 知らない

   でいるのはあまりに不幸である。滑稽というより, 哀れでさえある。こういう

   ミスマッチを起こさないためにも, 気功関係者は積極的に気功に関する情報公

   開をして欲しいものである。

   
   

   
【論理的で整合性のある情報を】
   

   
ここではっきりさせたかったことは, 気功の流派間には, レベルの差が厳然と

   存在しているのであり, 個々人がそれを自覚して欲しいということである。言

   葉は悪いが, 高級功法と低級功法が無いというのは, 大きな間違いである。高

   齢者向けの内気功と気功師を養成する外気功とでは, どちらがレベルが高いか

   は明白実々である。それを対等だと考えているところに間違いがある。平等で

   あっても対等ではない。小学生が足し算引き算を学ぶことと, 大学生が微分方

   程式を学ぶことは, 同じレベルのものかどうか。貴方にとって適切な気功はと

   いうことと, 気功世界でのレベルの高低差の問題は, はっきりと区別して論じ

   られるべきである。こんなにも人を幸せにする素晴らしい気功なのである。そ

   れを日本に深く定着させるためには, まず正しい情報が提供されねばならない。

   人を欺く荒唐無稽なものや, 人を惑わす曖昧模糊なるものを排し, 科学的とは

   必ずしも言えないが, それでも論理的で整合性のある情報を発信したいと願う。

   
   

   ** 購読者コーナ *************************
  
 
  
 □意見□
   
   『ホームページ「バーチャル気功道場」に書いてありましたが, 誰でも気功を
   
やれば他人を動かせるようになるというのは, 本当なんですか。テレビの番組
   
でときどき, 気功師という人がやってますが, やらせみたいに見えます。そん
  
 な能力が身に付いたらスーパーマンではないですか。』(東京 OMさん)
   

   ■解答■
   
   スーパーマンではありません。それは人間の奥に住む潜在的な能力の開発で

す。ただし「時間かけずに, 金かけず, 努力しないで」式の対処法は通用致しま

せん。メニュー通りに一年間トレーニングすることが前提です。そうすれば, 殆
   
どの人がその能力を獲得することができます。トレーニングを重ねて内気を充
  
 実させ, そして秘伝の術を使えば人は簡単に動きます。実際に70歳近いおばあ

   ちゃんでも, 涼しい顔をして人を動かしています。よほど面白いとみえて, 動かし

たり動かされたりと, 一寸やり過ぎみたいですが。

   
    
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        【バーチャル気功空間 気の世界】隔週  
                                   
    発行元: 日本気功倶楽部
   監 修: 天地 一道
   編 集: 森澤 陽子

           

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■私の気功の世界■


ネット通信教育 「一指禅功日本 バーチャル気功道場」

http://issizen.michikusa.jp/



「一指禅功日本 東京・小岩リアル気功教室」

http://katutoshinamiki.suichu-ka.com/



YouTube 「一指禅功秘術 吊手術」

https://www.youtube.com/watch?v=W5J6RmbjpQI&feature=youtu.be


Twitter 「連載 気を考える」

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■私の趣味の世界■



すまい&町並み 今昔物語

「第一章東京下町風景への旅」

「第二章同潤会アパートへの旅」








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