並木克敏(天地一道)

「バーチャル気功空間 気の世界」

2001.05.05 創刊




第一章 入門編
   
   
(01-08) 気血(その一) 気の流れ (No.08)
   

2001.08.10
   
   
  
【気の病証 気虚と気滞】
   

「気」に関する病気の原因(病証)の一つに, 中医学的には「気虚」(ききょ)と「気滞」(きた

い)というものがある。「気虚」とは気が虚している, つまり気が不足している状態のことであ

る。症状としては「やたらと眠りたがる, 脱力感, 食欲不振」などがあり, 文字通りやっと生き

ているという状態である。「気虚」は練功を重ね, 気量を増大させることで改善される。気量

が増大して, 身体内から気が溢れ出るときの反応については, 前号で述べたので省略した
   
い。「気滞」とは, 気が経絡内のある部分に渋滞して, 気の流れが滞ることである。これには

「滞っている部位に張ったような痛みと, その部分が時間的に移動する」などの症状がある。

これも練功を重ねることで改善されるのだが, その過程で気量の増大のときとは違う, 一風

変わった気感を体験したので紹介したいと思う。
   
   

   
【気の滞り】
  
 
それは, 練功中に種々の反応を感じ, 気の存在を信じ始めていた時期であったように思う。

いつものように, 淡々と立禅の姿勢を続けていたが, しばらくしてから右腕に違和感を覚えて

いた。ふと見ると, 両腕が平行になっているはずなのに, 右腕だけが外側に曲がり肘が上が

っていた。私めってこんなにも姿勢が悪いのかしら, と思いながら姿勢を修正した。単なる姿

勢の崩れだと思ったので, 何事もなかったかのように練功を続けていた。すると再び右腕に違

和感を感じ始めた。なんと言うことだ, 先ほどとまったく同じ形に移動しているではないか。目

の前に腕があるにも拘わらず, 移動していくのが全く気づかない。これは尋常ではないと思

い, 右腕に注意を集中してみた。すると上腕に張ったような感じと, 多少の痛みがあった。我

慢できないほどの痛みではなかったので, 腕を元の位置に戻し, その日はそのまま練功を続

けた。(立禅の姿勢を知りたい方は, ホームページを参照して下さい)
   
   

   
【そして流れる】
   

次の日の練功のときには, すでに昨日の小さな出来事などまったく忘れていた。あいも変

わらず淡々と立禅するのみであった。するとまた右腕に違和感を覚え視線を移すと, 昨日と

全く同じ形に崩れていた。この日も一回の練功で三度ほど崩れ, そのたびに修正し直した。

こんなことを何度も経験すると, 単なる姿勢の崩れとは考えられないようになる。両腕が下

がるとか, 片腕だけが広がるといのであれば, これは姿勢の崩れであといえる。しかし「腕

が外側に曲がり, 肘が上がる」というのは, きわめて不自然な形である。何らかの力が加わ

っているとしか考えられない。それから四日が過ぎたとき, 立禅中にまたも右腕の形が崩れ

てきた。すると腕が今までよりも大きく曲がり, 同時に強い張りが生じ, 腕の中でぐぐっと何か
   
に引っ張られる感じがして, すっぽ〜んと何かが通り抜けた。詰っていたものがぐぐっと押さ

れ, すっぽ〜んと抜けたという感じである。この小さな体験は, 気滞していた経絡の中を気が

流れ抜けた瞬間であった。これを以降, 右腕に張ったような感じも痛みも起こることはなかっ

た。
   
   

   
【勝手に動く】
   

トレーニングによって気量が増大し内気が充実してくると, 経絡内の気の流れがさらに促進

される。もしも経絡内に気の滞りがあれば, 気を通そうとして経絡内の圧力が強まってくる。

そのとき, 経絡内の「気」を流れやすくするために, 身体に何が起こるか。「(06)調身 調身

は密教の手印に通じる」を思い出して頂きたい。太極拳などの「動功」の原理は, 身体や手

腕を動かして経絡刺激し, それによって気の流れを促進させると書いた。であるならば, 気

を流れやすくするために, それに相応しい身体の形に直せば(動かせば)よいことになる。し

かし, 自分にはどの経絡が滞り, どのような動きが必要とされているのかは知る由もない。

ただ手をこまねいているだけである。ところが「気」は, 驚いたことに自分自身の意思とは関

係なく, 自分の身体を気の通りやすい姿勢に, 勝手に変えてしまうのである。練功中に知らな

い間に「右腕が外側に曲がり, 肘が上った」のは, 右腕で渋滞していた気が, 最も通りやすい

姿勢に自動的に改造していたのである。最初は単純な姿勢の崩れだと思っていたのだが,

実際にはそうではなく「気」によって肉体が動かされていたのである。自分の「気」が, 自分の

知らない間に, 自分自身の身体を動かすということがある。多くの人はそんな馬鹿なことがと

思うことだろうが, これは厳然たる事実なのだ。
   
  
 
   
【自発動功へと通じる】
  

練功中に「気滞」に伴い身体が, 比較的大きく動くことはそれ以来経験していないが, 腕が

ねじれるようにぴくっと動くことは今もある。太極拳などの「動功」は, 身体や手腕を動かし

て経絡を刺激し, それによって気の流れを促進させる。それに対して「気滞」した気は, 自

分の身体を気の通りやすい姿勢に変えることで, 気の流れを促進させるのである。「気自

身」が独自の意思をもっているかのようである。両者共に身体の動きと気の流れは, 同一

の原理に則っているのであるが, その方向が逆なだけである。そして, 後者の原理を応用

したものが, 飛んだり跳ねたりと勝手に身体が動き出してしまう, あの摩訶不思議な「自発

動功」へと通じているのである。この「自発動功」の術は, 各流派が秘伝として一般に公開

することなく, 師匠から弟子へと口伝で伝承される種のものである。この術はマスメデアや

活字などを含めて, 不特定多数に公開することが厳に禁止されているので, 一般の人の

目に触れることはない。
   


*** 会員からのメッセージ ************************


『身体から白い煙状のものが』(福井 KYさん♀)
  
 
「ご指導、有難うございます。現在のところ一日に大体30分位、練功を行っていま

す。お腹のあたりから、特に背中の方がものすごく熱くなり、腕、首、頭のほうへ熱さ

が伝わってきます。汗ばむ位熱く感じます。それから、手のひらの下に何か物がある

ような感じがして、その上に手が乗っている感じがします。あと、身体から湯気のよう
   
な白い煙状のものがゆらゆらと立ちこめているのが見えます。大腿は始めから全然

震えるということはなく、痛くもならず平気です。以上が、現在の状態です。」
  
 
   ※倶楽部から一言

KYさんはすでに「外気功」を経験され, 気功治療もできる腕前なので, 初心者とは反

応もだいぶ違うようです。



*** 購読者コーナ ***************************
   
   
   
□質問□
   
『ホームページの立禅の姿勢を真似して立ったけれど, 何の反応もなかったのですが,

それはどうしてですか。』(北海道 SAさん)
   

   ■解答■
   
気功ですから立つといっても, まず正しい姿勢が要求されます。次に, 正しい姿勢を不

動に保つことができる体力が要求されます。身体が前後に揺れたり, 太腿が直ぐに疲

れたり, 腕が下がってきたりしたのでは, 気の反応を期待することはできません。杭の

ように微動だにしない姿勢をとれることが前提です。そうすれば, 遅くても2〜3週間後

に, いろいろな気感が生じることでしょう。立禅の姿勢を保つには, 想像以上に体力が

必要とされるのです。逆に言うと, トレーニングをすることで体力がついてきます。やが

て片足で立ち上がることも可能になります。


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        【バーチャル気功空間 気の世界】隔週  
                                   

    発行元: 日本気功倶楽部
   監 修: 天地 一道
   編 集: 森澤 陽子

           

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■私の気功の世界■


ネット通信教育 「一指禅功日本 バーチャル気功道場」

http://issizen.michikusa.jp/



「一指禅功日本 東京・小岩リアル気功教室」

http://katutoshinamiki.suichu-ka.com/



YouTube 「一指禅功秘術 吊手術」

https://www.youtube.com/watch?v=W5J6RmbjpQI&feature=youtu.be


Twitter 「連載 気を考える」

https://twitter.com/mikenekobusu




■私の趣味の世界■



すまい&町並み 今昔物語

「第一章東京下町風景への旅」

「第二章同潤会アパートへの旅」








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