2001.05.05　創刊

　　　
　　　
(01-04) 効能（その一）唾液と発汗 (Ｎo.04)
　　　
2001.06.16
　　　
　　　
　　　
　　　【気との遭遇】
　　　

トレーニング（練功）を続けていると, 手の平や腕の間に強い気感が生じ始めたと, 前々週に

書いた。最初に感じたこの劇的な「気」との遭遇は, 私にとっては「気功には何か得体の知れ

ないものがある」と思わざるをえない事件であった。それからも気感は日一日と強まり, とき

には手の平に風船のような玉ができたり, また体調のよいときになどは, その玉がくるくると回

転しているのが実感できる。気感は手や腕から身体全体に広がり, さらに気が手首にあるツ

ボから噴き出しているような反応もあり, 説明しきれないほど多種多様になってきていた。そ

のとき私にはまだ見えていなかったが, 先輩の中の一人はツボから噴出してくる気が見える

という。私は自分で「見えるもの」「感じるもの」だけしか信用しないことにしていたので, この

件については未確認のため保留にとどめた。
　　　
　　　

【唾液の分泌】
　　　

飽きずに愚直にトレーニングを続けていると, 強い気感が生じてくるばかりでなく, やがて身

体にも色々な変化が現れてくる。その一つが立禅の姿勢をとるとすぐにも分泌される唾液で

ある。唾液の分泌は劇的な変化ではないので, 初めのうちは気がつかなかったが, 練功する

たびに口の中に溜まり, 飲み込んでも飲み込んでも分泌される。そのうちお腹がゴロゴロと鳴

り始め, 腸の蠕動が起こる。消化器系の器官が活発に働いていることが自覚できる。このよ

うな変化は私だけに起こるわけてはないので, 練功の最中に快音を轟かす不届き者もしば

しば出現する。もたれや下痢など胃腸の調子が悪いときは, 練功によって消化器系の経絡

が調整されてくるので, 練功後はすっきりとしてくる。薬を飲むよりも, 即効性がありかつ効果

が大きく副作用もない。
　　　

　　　
　　　【上半身のみの発汗】
　　　

もう一つの身体的な変化は発汗である。練功の効能の一つは, 健康の維持・病気の回復を促

す「気血循環促進」である。「気行けば血も行く」といわれるように, 練功は気を流すことで血を

流すのであるから, 体温が上昇して発汗することは正常である。気功を始めたのが, 夏の終わ

りのまだ暑さの残る季節であったので, 玉のようにふき出し流れる汗について怪しむものでは

なかった。さらにそのときは, 膝を深く曲げて練功していたので, 汗が出るのはむしろ自然とさ

え思っていた。季節はやがて秋に入り, 膝を軽く曲げる程度で練功しても汗は少しも収まらず,

玉のように流れ続けた。その頃からある疑問が頭をもたげてきた。どうして上半身だけが汗を

かくのか。頭から顔へ, 胸から腹へ, 背中から腰へと汗が流れ, 練功が終わると肌着がびっ

しょりとなる。しかし, 下半身にはなぜか発汗が殆どない。運動に伴う発汗とは何か違うように

薄々感じていた。
　　　

　　　
　　　【有害物質の排出】
　　　

気功の姿勢は, 流派の区別なく「上虚下実」を基本としている。「下実」とは膝を曲げて立つ

ことで, 全体重を太腿の筋肉にかけて下半身を充実させることである。それに対して「上虚」

とは, 腰より上の上半身の筋肉の力をすべて抜くことである。肩･肘・手首・指の力を抜き, 最

小限の力でこの姿勢を保つことが要求されている。つまり不思議なのは, 下半身の筋肉に

は強い力が加わり上半身の筋肉は力が全く加わらないぶらぶら状態なのに, どうして上半

身だけに発汗があるのか。ということは, 「気行けば血も行く」ことで生じる練功中の汗は,

激しく運動してかくそれとは性格が違うことを意味している。練功中の汗は, 体内に蓄積さ

れている有害な物質を, 尿などと共に体外に排出させる効果がある, といわれる。単に体

温の上昇を抑えるためだけの発汗ではないのである。
　　　
　　
　
　　　【気を育てる】
　　　

入門から三ヶ月ほど経ったこの過程を一言でいえば, 自分の身体の中で「気を育てている」

という表現がもっとも相応しいように思える。最初は赤子のように弱々しい存在の気が, 淡々

と練功を重ねるうちに, 次第に力強いものに育っていくのを実感できる。それが昨日よりも今

日, そして明日へと, 日々育っていくのが嬉しい。気功とは, 気という生命体をトレーニングに

よってじっくりと「育てる」健康法といえそうである。焦らず, 急がす, じっくりと「気」とお付き合

いしたいものである。


　　　
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　　　　　　　　【バーチャル気功空間　気の世界】隔週　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

　　　　発行元: 日本気功倶楽部
　　　監　修: 天地　一道
　　　編　集: 森澤　陽子
　　　　　　　　　　　

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■私の気功の世界■


ネット通信教育 「一指禅功日本 バーチャル気功道場」

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すまい＆町並み　今昔物語

「第一章東京下町風景への旅」

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