並木克敏(天地一道)著


「バーチャル気功空間 気の世界」


2001.05.05 創刊












第7章 一指禅功の基礎知識

(07-09)馬歩椿の姿勢 (2)

練功者の身体に生まれる気感


2007年2月8日 (No.85号)





【 「上虚下実」の意味 】


   一指禅功の基本姿勢である馬歩椿は, まず膝を曲げてしっかりと立つ

   ことである。膝を曲げて立つことで, 全荷重は太ももである「大腿四頭

   筋」が受けることになる。大腿四頭筋に負荷を与えると, 下半身の気

   は爪先より押し上げられ, 上方に向かっての流れを強める。馬歩椿の

   役割の一つは, 松の木ががっちりと根を張るかのように, 下半身を充

   実させることにある。それに対して, 上半身への要求は, タコなどの軟

   体動物のごとく, すべての筋肉の力を抜くことである。すべての筋肉の

   力を抜くと云っても, 完全に力を抜いたのでは, 両腕はだらりと垂れ下

   がり, 要求された馬歩椿の形にはなりえない。正確な表現をするなら

   ば, できうる限り小さな力をもって, 馬歩椿の姿勢を保つことであり, つ

   まり「虚」の形ということになる。恥骨から鎖骨までの上半身の部分に

   は, 五臓六腑が収められおり, 気の生成から運動まで生命の本源的

   な営みが行われる場である。ここでの気の流れは, 下半身とは逆にで

   きるだけの力を抜くことによって, より強化・促進される。力んで緊張す

   ると, 気の流れは阻害されてしまうのである。馬歩椿の姿勢を注意深

   く観察するならば, 腰や肩, 腕や手などに力が加わらないように, 言

   葉を代えて言えば, 緊張しないように計算し尽くされているのである。

   これが, 気功の入門書に書かれている「上虚下実」の意味である。



【 「上虚下実」の実践 】


   馬歩椿の姿勢を長時間にわたって保つことは, 外から眺めているほど

   簡単なことではない。馬歩椿の姿勢をとって, 誰もが最初に実感する

   ことは, 太ももに加わる体重の負担が, こんなにも大きかったのかとい

   うことであろう。それも時間が経つにつれてじわじわと強まり, やがて

   両脚がガタガタと音を立てて振るえ出すことになる。この辛さは, 柔道

   の金メダリストさえ経験することで, 殆どの人が避けては通れないプロ

   セスである。しかしながら筋肉というのは, 鍛えればどうにかなるもの

   で, 耐え続けていれば徐々に慣れるというものである。それでも駄目

   ならば, 膝を曲げる角度少なくして, 腰を高くすればいいのである。

   自分に合う膝の角度を調整しながら, 大腿四頭筋が鍛えられるのを

   待つのである。これほどまでに馬歩椿にこだわるのは, 一指禅功にと

   って大腿四頭筋を鍛えることは, 必須の第一条件だからである。



【 「上虚下実」の実践 】


   そのようなわけで, 馬歩椿の姿勢のうち, 下半身を鍛えることはそれほ

   ど難しいことではない。七十歳を過ぎた婦人でも, 慣れれば平然とし

   た顔で立っているのである。それでは, 上半身の力を抜くという要求の

   方はどうであろうか。下半身が「大腿四頭筋」を鍛えるという, 単純な

   筋肉の問題であったのに対して, すべての力を抜く「上虚」の姿勢は,

   必ずしも筋肉だけに関わるわけではない。力を抜く動作の中に, 心と

   関係している部分が多分に含まれているだけに, そう容易なことでは

   ないのである。というのは, 現代のようにストレスの多い時代では, ほん

   の小さな外界からの刺激に対しても身を構え, 筋肉を硬直させること

   が習慣化しているからである。下半身の姿勢は申し分のないのに, 肩

   や腕や手の力が, なかなか抜けないという人は結構多いのはそのた

   めである。



 【 非日常的な世界 】


   正しい馬歩椿の姿勢が保たれると, 練功者の身体にどのような気の感

   覚が芽生えてくるのであろうか。気感というのはきわめて個人差が大き

   いので, こうあるべきだということを一概に言うことはできない。それでも

   最大公約数の意見をまとめてみると, およそこんな風になりそうである。

   一指禅功を始めてから数週間経った頃, 練功中に手の指先に痺れた

   ような, 腫れぼったいような, 変な感じが生まれてくる。それからさらに

   数週間が過ぎた頃には, 気の感じは説明のできない曖昧なものから,

   はっきりとした実体の伴う感覚に変化してくる。両腕の間に磁石のよう

   な反発力や引力が生じてくるのである。両腕を軽く内側に向かって動

   かすと, 両腕の間に風船があるかのように反発し, 逆に, 両腕を軽く外

   側に向かって同時に動かすと, 内側に引く力が感じられる。これらの

   感覚は, 多くの人が練功中に感じる初歩的な気の反応(気感)である。

   この不思議な感覚は, どんなに人間を長くやってきた人でも, かつて日

   常生活の中で経験したことのない, 一つの非日常的な世界での感覚

   なのである。一指禅功は, 非日常的な世界の中で, 非日常的な鍛錬

   をすることによって, 非日常的な潜在能力を開発するのである。



   
 ** 会員からのメッセージ **********************



『 疲れにくくなったみたい 』 (広島 一サラリーマン♂)


   『気功を始めて3ヶ月ほど過ぎました。気の感じというのは残念なことで

   すが, いまいち分かりません。それでも練習した後に, 手の平を見ると

   真っ赤になっています。真っ赤ということは, 血量が増えたということでし

   ょうか。そういえば最近, 疲れにくくなったように感じます。朝早い電車

   に乗って会社に着く頃には, かなり疲労困憊していたのですが, この

   頃ではすぐに仕事に取り組めるようになりました。気功のお陰だと思い

   ます。感謝です。』



   『 気功をサークル作る 』 (アメリカ在住 太り気味♀)


   『アメリカのシアトルで暮らしています。アメリカ人は好奇心が旺盛で,

   私が外で気功をやっていると, さも珍しそうに足を止めて見物していま

   した。最近では, 近所の奥さんたちにせがまれて, 気功のサークルを

   作ってしまいました。毎週土曜日の午後に私の家でやっていますが,

   夫婦でみえる方もいて, 終わるといつもささやかなホーム・パーティー

   です。日本人は家にこもることが多いようですが, アメリカ人はパーテ

   ィー好きで, みんな会話を楽しんでいるようです。もう少し練習して外

   気治療ができたらいいなと願っています。』

 

  



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お寄せ下さい。お待ちしています。
   
    Email aam13920@nyc.odn.ne.jp  編集  正田 竜二
  



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【バーチャル気功空間 気の世界】月刊
                                   
   発行元: 日本気功倶楽部

監 修: 天地 一道

編 集: 正田 竜二


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