並木克敏(天地一道)著


「バーチャル気功空間 気の世界」


2001.05.05 創刊












第7章 一指禅功の基礎知識

(07-08)馬歩椿の姿勢 (1)

一指禅功の基本姿勢


2007年1月1日 (No.84号)





【 「気の現象」と三調技術 】


    「気とは何か」と云っても, 「気の正体」がブラック・ボックスの中に隠れ

   てしまっているので, 中国伝統医学においても, また現代の先端科学

   をもってしても, その正確なところは今のところ以前不明なのである。

   「気の正体」そのものは不明であっても, 一指禅功の林厚省老師によ

   る気功麻酔や, 中国の気功医師による気功治療, あるいは気の力で

   人を動かす外気導引などによって, 「気の現象」は証明されている。し

   かもこの「気の現象」は, 自然界に客観的な形で現れるというより, 主

   に人間の生身の身体を媒介として出現してくるのである。気功麻酔や

   気功治療という「気の現象」が, 生身の身体を媒介として現れるという

   ことは, 言葉を代えて云えば, その人が特殊な潜在能力を身に付け

   ているということでもある。この能力が, 先天的に備わっている人もま

   れにはいるけれども, 殆どの人が, なにがしかの努力をして後天的に

   獲得したものである。そして, この特殊な潜在能力を開花させる道が

   中国五千年の気功の鍛錬法であり, 具体的には「調身・調息・調心」

   の三調技術なのである。



【 「馬歩椿」 一指禅功の基本姿勢 】


一指禅功は, 三調技術の中で, 正しい姿勢や動作である「調身」に重

   きを置き, あまり「調息・調心」を使うことはない。さらに, 「調身」と云っ

   ても, 太極拳のように華麗なる動きがあるわけでもない。調身の基本は

   「馬歩椿」にあり, 顔に蚊が止まろうが, ネコが足に絡み付こうが, ただ

   ひたすら立ち続けるのである。馬歩椿の姿勢では,呼吸法や意念は

   勿論のこと,舌を上顎に付けるとか, 肛門を締めるとか, あるいは背骨

   を一直線にするなどの, 特別なテクニックは, まったく要求されていな

   い。もし貴方が外気功に進んだとしても,馬歩椿の姿勢に対する特別

   な要求があるわけではない。馬歩椿は,どこまでいっても馬歩椿であり

   一指禅功は, 馬歩椿で始まり, 馬歩椿で終わるのである。それにして

   も, 一指禅功がこんなにも馬歩椿にこだわるからには, 何か大変な効

   果があるのかも知れないと, 読者の方は考えるであろう。その通りなの

   である。「馬歩椿」という単純で多少滑稽な, この立った姿勢の中に,

   中国気功五千前年の智慧が凝縮されているのである。



【 「第二の心臓」 大腿四頭筋 】


   気功の理論書によれば, 馬歩椿の姿勢を取り始めると, 体内の陰気が

   下方から上方へと流れ, 逆に陽気は上方から下方へと流れると云う。

   陰気と陽気の流れる「十二正経」には, 六本の陰経と六本の陽経が走

   っているが, これらは, 身体の要所々々のツボで繋がっているので, 内

   気は身体全体を大きく, かつ隅々まで還流するのである。 「気が流れ

   れば, 血もまた流れる」ということから, 気血循環が促進され, 健康維

   持と病気回復が達成される。これが馬歩椿の姿勢を取ったとき, 体内

   で生じる「気血の流れ」のメカニズムである。

   気功を経験したことのない読者の方が, 第三者的な立場で見れば,

   きっと雲を掴むような話としか思えないであろう。しかしながら, 馬歩椿

   の姿勢を, もう少しだけ近づいて眺めるならば, 貴方は「もしかして!」

   という気になるかも知れない。馬歩椿とは, ただ単に垂直に立つだけ

   ではないからである。馬歩椿の基本姿勢は, 肩幅に足を開き, 両膝を

   曲げて立つのである。このとき, 膝頭が足の爪先から前方へ出ないこ

   とが大切である。前方に出たまま立ち続けると, 膝に体重が過度に加

   わり, 膝を痛める危険がある。この膝を曲げて立つ姿勢こそが, 気功と

   りわけ一指禅功にとって, 決定的に重要なのだ。というのは, 膝を曲げ

   て立つことで, 上半身の荷重は, それまでとは違って, すべて大腿四

   頭筋が負担するようになるからである。この大腿四頭筋は, 西洋医学

   的には「第二の心臓」と称される部位なのである。すなわち馬歩椿の

   姿勢は, 「第二の心臓」を鍛えることを意味している。



【  血が流れれば, 気もまた流れる 】

 
   それでは, 「第二の心臓」を鍛えるとは, 一体どういうことなのか。読者の

   皆さんは, 人間の血液循環の仕組みを, すでにご存知だろうと思う。酸

   素と栄養分を豊富に含んだ血液は, 心臓のポンプによって, 大動脈か

   ら身体の隅々の毛細血管にまで送られ, およそ60兆個の細胞に生命

   を吹き込んでいる。今度は逆に, 細胞から毛細血管へ送り戻された,

   二酸化炭素と老廃物を含んだ血液は, 静脈を通り大静脈を経て心臓

   に戻る。ところが, 血液の帰り道である静脈には, 心臓のようなポンプ

   がない。動脈は, 身体の上部の心臓から, 最下部にある足の指先まで

   重力の法則に従って送られるので自然な流れとなっている。ところが

   静脈には, 自前のポンプが無いばかりか, 脚の静脈は, 下から上へと

   重力の法則に逆らって, 血液を心臓に戻さねばならない。脚の静脈は

   常に二重苦に喘いでいるのだ。そんな静脈のあまり強いとは云えない

   助っ人が, 実は筋肉なのである。身体を動かすたびに, 周辺の筋肉は

   雑巾を絞るように, 静脈内の血液を上へ上へと引き上げる。幸いなこと

   に, 静脈の血管内には弁があるので, 一旦引き上げられた血液は下に

   戻ることはない。このように筋肉と弁は協力して, 静脈内の血液を心臓

   に戻すのである。そして, 大腿四頭筋は, 人間の身体の中で, お尻の

   筋肉に次いで二番目に大きな筋肉であると共に, 最も活動的な筋肉で

   もある。したがって, この大腿四頭筋を鍛えることは, 下半身の血液の

   循環に, とりわけ静脈にとって大変有効なのである。ところで, 気功の理

   論書によれば, 「血が流れれば, 気もまた流れる」という気血の関係に

   あるので, 馬歩椿の姿勢をとれば, 体内の気が流れても不思議ではな

   いのである。

 


   
 ** 会員からのメッセージ **********************



 ■■ 特集 会員からのメッセージ ■■


   
■ 『盲人の私にもできました』(浜松 梅庵♂)


   『自分は、盲人がゆえに、いままで伝授していただいた功法を、正確に

   マスターしているとは思いませんが、おもいきって、外気導引法を、女

   性一人・男性一人に行ってみました。初め、女性の友達にさせていた

   だきました。私は見えないので、「何か感じる」ときくしかありません。

   まぁ、温かさがつたわればいいかなと, 「どう、何か感じた?」ときくと、

   女性は、 「前後に動くよ。」 私、「ええ、本当に動いてるの!?」 女性

   は、「動いてるよ。あなたの手に胸と・背があたったでしょ。その時に引

   っ張れてあたったのよ。」 私は、手があたったのは、引く手の幅 が、小

   さすぎたかと思いました。また、左右の手の動かし方が速いのかと思い

   ましたが、それが動いていたと聞いた瞬間、「やったー!うれしい!」

    こんな自分でもできたんだ。不思議だな, あ りがとうございました。

   もう一人は、知人の男性です。この方は、はっきり言って気とか目に見

   えない事に対して信じないタイプの人です。 「何にも感じないよ。動

   かないよ。」と男性に言われるのを覚悟して行ってみました。 私、「ど

   う、何か感じる?」 男性、「何にも感じないねー。」、「思っていたとお

   りのお答えでしたね」と、心の中で。 もう少し時間をおいてから、 「ど

   う、何か感じな い?温かいとか?」とたづねました。 男性は、「何もか

   んじないよ。温かくもないね。うん、そう言われれば、ふくらはぎがぴり

   ぴりするなー」 私は、それだけなの?」 やはり、この人は駄目か。 残

   念だけど。 「体が動いたりしないんだ?」と、もう一度つぶやくようにき

   いてみましたら、 男性は、「体は動いてるよ。」 私は、「ちょっとまって

   よ、体が動いてるの !?本当に?どの様に動くの?」 男性は、「前

   後ろに揺れるよ。」 「何をしてるの?」 …つづきますが。少々の揺れ

   かもしれませんが、女性と男性に行わせていただきましたところ, 両人

   とも動いたと報告させていただいてよろしいでしょうか?』



   ■ 『 練功の感覚について 』 (千葉 侃♂)


   『長文になります点、お許しください。気功を始めてようやく5ヶ月を迎え

   ます。一指禅功に出会う前に近所で開かれていた気功に3年ほどかか

   わっていましたが, 月に4回開かれる内で仕事の都合で月に1回参加

   する程度でした。参加できるときだけ気功をするといった有様でしたの

   で向上することも無かった。系統だった訓練には見えなかったこともあり

   壁にぶつかっていました。気感はあってもそこか進歩がありませんでし

   た。そんな中でネットサーフィンで一指禅功jに出会いました。拝見した

   当初は半信半疑でした。初級コースを一括申し込みをしたのも、逆に

   そんな自分の思いを断ち切るためでもありましたが結果はオーライでし

   た。続けて行く中でもそれまでの意念、調息などにとらわれていました。

   ようやく意念・調息にとらわれなくてもいいと納得できるようになったの

   は4ヶ月に入ってからです。

   その間にも色々な感覚と出会いました。3ヵ月したある日、気功を行っ

   た後で普段どおりに携帯電話を腰のベルトホルダーに入れると、携帯

   電話のある腰付近が20cm位の半球が熱感がかすかにあり、ゼリーの

   ようなプヨプヨしてる感じで、ブヨブヨしていても身体よりも硬さがあるよ

   うに感じました。おそらく携帯から出ている電波を感じたのかと考えて

   います。その感覚が一週間近く続きましたが、残念ながらそれ以降は

   ありません。ちなみに、それ以降は携帯電話はバッグに入れて、直接

   身につけることはやめました。

   同時期に立禅をしていたら左手首から甲にかけて上から圧力と冷感

   を感じました。これは何かと思いましが先日読んだHPに力が入ってい

   ると冷感があると。ひとつはほっとしましたが、圧感はなんだろうかといま

   だに疑問があります。それから二十年来の腰痛が軽くなってきました。

   今までは5分もかがみ仕事をすると腰に痛みが刺し、すぐに立ち上がる

   ことすら容易ではありませんでした。それが今では1時間から2時間の

   屈み仕事をしても痛みは無く、すぐに立ち上がることができるようになっ

   たのです。おかげさまです。まだこれからもいろんな体感に出会えるの

   ではないか、と楽しみにしています。 』



   ■ 『 指の間に白くもやもやしたものが見え始める 』 (大阪 M.S♀)


   『今のところ、毎日30分立禅しています。20分もするとやっぱりこの姿勢

   は辛くなってきます。足よりも腕から肩にかけての方が辛いです。私の

   場合、まだまだはっきりとは見えないんですが、手に意識を集中すると

   手から何か出ている??これって気・・・?と思いインターネットを調べ

   そちらのサイトを見て立禅に興味を持ってので入会したので、錬功2日

   目から指の間に白くもやもやしたものが見え始め、今は湯気みたいにも

   やもや指先から気?がでているのが見える(まだまだはっきり見えてま

   せんが)ので、それが励みになってがんばって錬功しています。今後、

   どうなるのか楽しみです。熱しやすく冷めやすい性格ですが、なんとか

   続けてがんばりたいです。 よろしくお願いします。』



   ■ 『 妻の腰痛が治った 』 (福岡 マーザル♂)


   『 外気治療について面白いことがありましたのでご報告します。最近、

   妻が腰の筋を違えて一人ではズボンなどはけない状態となりました。い

   い機会だったので15分ほど腰痛治療の手続きに従って外気を送ったと

   ころ、「痛みが3分の1ほどに減り」軽い前屈ができるほどになりました。

   翌日の朝、再度外気を送った後、その日の午後に「ほぼ痛みがなくな

   った」状態にまで回復しました。妻は以前、何度か腰痛になっており、

   そのときには少なくとも3日は動けない日が続くのですが、今回このよう

   に早く回復し、夫婦とも驚いています。』



   ■ 『 慢性関節リウマチを患う 』(埼玉 内気弱♂)


   『さて、恐縮ですが、ここで私の現況をお知らせします。歳は50代半ば、

   20年来慢性関節リウマチを患ううちに、両手首関節は変形・癒着してそ

   の機能を果たさず、膝は左が人工関節、右もかなり軟骨が磨り減り、階

   段の昇降などは手摺りを掴みながらでないときつい状況です。通院・

   薬の服用を続けながら、せめて膝の方だけでもこれ以上破壊が進まな

   いよう、自分でも入門書を頼りに見よう見まねで気功(意拳の養生椿な

   ど)を独習してきましたが、やり方が悪いのか、快方へ向かいません。い

   ろいろ思い悩み、站椿や立禅のやり方を説明しているホームページを

   探しているうちに、貴教室のことを知り、ご指導を受けようと申し込みまし

   た。

   現在、内気功第3巻までいただき、取り組んでおります。手足関節の病

   変のため、指導員の先生方が示してくださる正式な姿勢はなかなか出

   来にくいし、何事にも不器用で鈍いので、進歩は遅いと思いますが、あ

   きらめずに続けていきます。以前より足腰はしっかりしてきたようで、わ

   ずかですが、練功中に掌などに熱感が感じられます。また今の時期、

   全身から発汗します。このような人間ですが、内気功コースが終了した

   ら、外気功コースへと進み、潜在能力開発の可能性を探り、おこがまし

   いですが、人のお役に立てるライフワークを(現在失業中です)見つけ

   ていきたいと考えております。長々と駄文を綴り申し訳ありません。今後

   ともご指導をよろしくお願いします。』



   ■ 『 重症の花粉症に効果は? 』(千葉 侃♂)


   『さっそくに(01)「花粉症防治法」  (07) 「生理痛」 (15) 「膝関節痛」

   をありがとうございます。花粉症では職場内(約150名余り)でも一、二

   を争うほどの重症と話題にされて、既に20年余り苦しんできました。と

   いうよりその期間は風邪と同様に体温が5分から1度余り 上昇し、瞼・

   耳の穴(耳道?)・鼻腔などすべてがむくんできます。その上目頭・

   目尻・耳の中、時は鼻腔といったところはすべて痒くなります。よくたとえ

   話で言いますが、痒いときは眼を取り出しタワシでゴシゴシと洗いたくな

   るほどです。

   当初は点眼薬・点鼻薬・飲み薬といろんな薬を使用したうえで、牛乳で

   鼻を洗うとよいと聞けば行い、ハーブオイルで入浴がよいと聞けばすぐ

   にためしました。結果は、私にとっては効果のあるものではありません

   でした。薬はたとえば眼が痒いときに点眼薬を使用すると直ぐに収まる

   のですが、薬の効果が切れると以前のかゆみ以上に痒みが襲ってくる

   という状態でした。そのため、本来一日に4〜5回といわれていても20

   回も30回も点眼薬を使用するといった状態でした。これでは麻薬と同じ

   状態ではないかと気づきまして、以後、あらゆる薬を使用することをやめ

   ました。やめてからは眼が痒いときには水で眼を洗うなどでしのいできま

   した。かえってそのほうが薬が切れた後の痒みほどのつらさが無いこと

   に気づきました。鼻水はどうにもなりません。ティッシュを軽く紙こよりにし

   て鼻栓をしてその上から花粉予防用の不織布のマスクを二重にしてす

   ごすといった状態です。無論、鼻は赤くなります。私は杉とヒノキのアレ

   ルギーらしく、2月中旬から5月の連休時期までは上記のような眼・鼻を

   赤くしてすごしてきました。今回は教わったことを行って参ります。また、

   その結果を3月あるいは4月に途中経過としてご報告できればと楽しみ

   にしております。ちなみに妻と娘は松のアレルギーになったようですが

   「花粉症ではない」とがんばっております。』

  



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【バーチャル気功空間 気の世界】月刊
                                   
   発行元: 日本気功倶楽部

監 修: 天地 一道

編 集: 正田 竜二


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