並木克敏(天地一道)著

「バーチャル気功空間 気の世界」

2001.05.05 創刊









第7章 一指禅功の基礎知識




(07-06)気功的鍛錬法(3)

日常から非日常の世界へ


2006年08月04日 (No.82号)




【 鍛錬 「キツイ」と「ツライ」を乗り越えて 】


   「気とは何か」という本質的な問い掛けに対して, 現時点では厳密な意

   味において, その正体は今だ不明としか言えないのである。しかしなが

   らである。雷の正体が不明だからと云って, ゴロゴロ〜ビカリと鳴り響く雷

   が存在していない訳ではない。雷の現象が誰の目にも明らかなように,

   気の現象もまた, 私たちの生身の身体を通して姿を現わしてくるのであ

   る。そして, 人間の身体を通して現れてくる気の現象は, 気功のカリキュ

   ラムに従って鍛錬することによってのみ現実化するのである。日本で最

   初のインターネットによる気功教室「バーチャル気功道場」を開設して

   から, 早いもので五年ほどの歳月が過ぎた。開設当時に入会された会


   員の中には, すでに外気功の上級を修了した人もいる。一指禅功の鍛

   錬法は, 馬歩椿が基本姿勢なので, 大腿四頭筋が鍛えられるまで,

   かなりの「キツイ」と「ツライ」を経験しなければならない。この「キツイ」と

   「ツライ」を乗り越えた人が, 気の現象と出会うことになるのである。その

   うえ「バーチャル気功道場」は, 街中の気功教室のように, みんなで仲

   良くトレーニングすることもなく, ただ一人でチャレンジすることになるの

   で, かなりの意志の強さが必要だったと想像される。頭が下がる思いで

   ある。とはいえ, 「キツイ」と「ツライ」を乗り越え, 孤独に耐えたその先に

   は, 日常生活では決して味合うことのできない, 数々の「気の現象」

   が待っているのである。会員の方々からは, 自分が体験した気の現象

   について, 驚きと喜びをもって多くの報告をいただいている。「会員から

   のメッセージ」は, その中の一部である。それは実話であって, フィクシ

   ョンではないし, まして「やらせ」でもない。



【 鍛錬 気功とスポーツ 】


   それでは, 一指禅功のカリキュラムに従って気的鍛錬をすると, どうして

   私たちの身体に不可思議な「気の現象」が現れてくるのであろうか。鍛

   錬というとすぐに頭に浮かぶのは, 気功とスポーツの違いである。健康

   の増進を目的として, 同じ鍛錬という言葉が使われているが, 気功とス

   ポーツは, 本質的にどこが違うのであろうか。両者の違いを第三者に説

   明しょうとすると, 「気とは何か」と同様に, それほど簡単なことではない

   のである。試しに気功関係のホームページを調べてみると, 「気功とス

   ポーツ」の違いについて, 正面きって書かれている文章は意外と少な

   いのである。その中から最もポピュラーと思われる解説を, 紙面の都合

   から要約の形で引用させていただきたい。


   『気功とスポーツは, 運動を通して身体を鍛える点では共通している。し

   かし, スポーツが意識を身体の動作や道具などの外側に向けるのに対

   して, 気功は意を用いて気を動かすなど, 意識を内側に向ける点で異

   なる。つまり, 気功は意識の運用・呼吸の調整・身体の運動を含む。し

   かしスポーツは基本的には身体の運動のみである』というのである。


   スポーツが本当に「身体の運動のみ」なのかどうかは, 多いに議論のあ

   るところであるが, これ以上触れないことにする。ここで問題なのは, 「意

   識を内側に向けるかどうか」が, スポーツと気功とを区別する試金石に

   なっていることである。



【 一指禅功 「調身」だけの気功 】


   もうすで読者の方はご存知のように, 気功の鍛錬には, 「調身・調息・調

   心」の三調技術がある。 「調身」は正しい姿勢と動作, 「調息」は呼吸法,

   「調心(意念)」は意識の持ち方である。一般的にはどの流派も, 「調身・

   調息・調心」の三つの組み合わせによって気功のトレーニング法が作ら

   れている。『意識を内側に向ける』とは, 「調心=意念」のことであり, この

   意識を内側に向けて働かせるかどうかが, 気功とスポーツの本質的な相

   違としているのである。ところが, 気功には三千流派, あるいは一説には

   一万流派があるとされ, どんな物差しを使ったとしても, すべての気功を

   一括りにすることは, かなり難しいのである。というのは一指禅功は, 三

   調技術のうち「調息と調心」を使わず, 「調身」のみの, つまり身体の運

   動だけの気功なのである。上の定義に従えば, 一指禅功は気功ではな

   く, スポーツの範疇に入ることになる。一指禅功は, 馬歩椿の姿勢を保

   ちながら, 特別な呼吸法も使わず, 意念を働かせることもなく, ただひた

   すら定められた動作(運動)を繰り返すだけである。だからと言って, 一

   指禅功は気功であって, 決してスポーツではない。



【 非日常の世界へ 】


   一指禅功は, 調身=運動だけの気功だと云っても, 馬歩椿という下半身

    の形は固定され, 手と指だけを動かしているだけなので, トレーニング

   風景を外から見ていると, 太極拳や仙遊功の華麗なる動きとは異なり,

   殆ど動きのない静功のように映る。一指禅功の鍛錬法は, 特別な呼吸

   法も使わず, 意念を働かせることもなく, ただ淡々と飽きることなく手順に

   従って, 手と指を動かすだけなのである。ということは, 一般に言われて

   いるように, 「意識を内側に向けるか否か」が, 気功とスポーツを区別す

   る分水嶺というわけではないのである。意識を使わない気功も, この世

   には存在する。それが一指禅功なのである。とすると, 「気功とスポーツ

   はどこが違うのか」, という問いに再び戻ってしまうことになる。そして一

   指禅功のカリキュラムに従って気的鍛錬をすると, どうして私たちの身体

   に不可思議な「気の現象」が現れてくるのであろうか, という大きな疑問

   に導かれるのである。結論から言えば, スポーツは, 王監督が現役時代

   にバッターボックスに立ったとき, 「玉が止まって見える」と語っていたけ

   れど, どんなに研ぎ澄まされた感覚に達したとしても, スポーツは日常生

   活の延長であることに違いない。ところが気功は, 正確には一指禅功は,

   馬歩椿の姿勢をとり鍛錬を始めると, 聴覚や嗅覚などの五感が異常に

   鋭くなったり, 自己の周囲に磁場に似た「気場」が生じるなど, 日常から

   非日常の世界へタイムスリップしてしまうのである。気功がスポーツより

   優れている, と言っているわけではない。しかしながら, 気功はこの肉体

   的にも感覚的にも, 非日常の世界に入ることによって, 多種多様な「気

   の現象」が現れるのである。 『第7章一指禅功の基礎知識』の(07-07)

   以下の項目では, 「身体に現れる気の現象」のメカニズムについて, 折

   に触れて多少なりとも深めてみたいと思う。




 
   

 ** 会員からのメッセージ **********************


『 私の練功日記です 』 (漫画家♂)

   『毎日レポート日記のようなものをつけています。        

   練功を始めて、3ヶ月になります。今は寝起きの、AM5:00頃に扶正長
   寿法を行っています。指を動かすだけで、お腹から背中にかけて、かな
   りの熱感が起きます。寝起きには、顔が青白く怖しく感じる時があるので
   すが、収功後鏡を見ると、血色が良くなり、これほど印象が変わるとはと
   思うくらい健康そうな顔に戻ります。うっすらと発汗もあります。ただ、練
   功を始めた頃とくらべると、手のひら全体にピリピリくる気感や、磁力のよ
   うな気感は感じなくなりました。しかし衛気…でしょうか。指から指へ流れ
   るように見えていた白っぽいものが、今は指全体とか、腕全体などから
   出ているように見えます。

   練功を始めて4ヶ月経ちました。現在こん球法をやっています。以前か
   ら感じていた手のひらのピリピリ感のほかに、腕やお腹に張り付いて顔
   まで上がってくる熱感、胸や背にかけての発汗があります。気づいた変
   化といえば、フトモモとふくらはぎの筋肉がついて、脚がしまってきたこ
   と、運動不足でも、歩き疲れたり、すぐに息が切れなくなったこと、体調
   不良でも、練功後は血色が良くなり、体調が戻ることが上げられます。
   それと、練功をしているところに近づいた妻が、「あ、ピリピリ感じる」と
   言いました。自分が感じているような気感を、他の人にも感じさせること
   ができたということに驚きです。また、煙のようなものが指から出て、今
   は手から少し離れたところにも見えます。これも、妻もなんとなく見える
   と言っていました。これからもひたすら続けていこうと思います。』


  
 『 夏は「陰」を鍛えます 』 (東京 夏バテの人♀)

   『今年の梅雨明けは10日ほど遅れ, 私としてはほっとしています。子供
   の頃から, 冬の寒さには強いのですが, 夏にはからきし弱いのです。中
   医学的には, 夏は陽が盛んになり, 相対的に陰が衰えるそうなので, 先
   日送っていただいた「気行六陰法」を, 昨日から始めています。この気
   功は「陰」を鍛えるとのことなので, 一ヵ月後にどんな結果が出るか楽し
   みです。次回に結果を報告したいと思います。』


  ** 購読者コーナ *************************


  
□ 質問 「馬歩とうの姿勢について 」□

   『一指禅功は 馬歩とうの姿勢が基本だと聞いていますが, イスに座った
   姿勢では効果がないのでしょうか。立った姿勢と, 座った姿勢では何が
   違うのでしょうか。私は足が少し悪いので立式はつらいのです。よろし
   くおねがいします。』(新潟小地谷 A.A♀)


   ■ 答え ■

   『立式の馬歩椿の場合, 脚の筋肉, 特に太腿四頭筋に身体の体重が
   かかるので, 陽気が下半身から上半身に向けてさかんに流れるように
   なります。その点で座式の馬歩椿は, 下半身に負担がかかっていない
   ので, 下半身の気の流れが弱くなります。とはいえ, 立式の馬歩椿が
   ベストであっても, 座式の馬歩椿は効果がないわけではありません。気
   功の最大のコツは, 「継続」ですから, 座式の馬歩椿でも続けて下さい。
   いつかは報われることでしょう。』




 ※気功やこのメルマガの内容に関して, ご意見やご質問がありましたら, 是非
   
お寄せ下さい。お待ちしています。
   
    Email aam13920@nyc.odn.ne.jp  編集  正田 竜二
  



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【バーチャル気功空間 気の世界】月刊
                                   
   発行元: 日本気功倶楽部

監 修: 天地 一道

編 集: 正田 竜二


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