2001.05.05　創刊

　　　




（07-03）一指禅功の歴史(その二)


第十七代・闕阿水大師の登場


2006年03月26日 (No.79号)

【新時代の指導者「闕阿水老師」】


　　　第十七代継承者「闕阿水」の誕生は, 少林内勁一指禅（一指禅功）の新

　　　しい時代の始まりを告げる ものであった。闕阿水は, 1918年に蘇州で生

　　　まれた。家が大変貧しかったので, 七歳の時に旅をしていた浄智禅師に

　　　弟子として引き取られ, その後仏門に入り, 号を「海騰」と称した。浄智禅

　　　師は, 南少林寺の少林内勁一指禅第十六代伝承者で, 本名を杜順彪と

　　　いった。闕阿水は, 浄智禅師のもとで一指禅功の練功に励み, 武術にも

　　　医術にも努力を惜しまなかったために, 禅師の寵愛をうけ, その後義理の

　　　息子となった。1940年代の初め, 浄智禅師はこの世を去る前に, 闕阿水

　　　の真摯な練功態度を認め, ある晩, 厥阿水を蓮の花が咲く裏庭に呼んで

　　　代々伝えられてきた秘伝中の奥義のすべてを伝授した。「七陰錯骨白骨

　　　手」「陰経封経手」「抽元法」などであった。一指禅功の秘伝は, 口伝によ

　　　って伝えられるのみで, 活字としては残すことは許されていなかった。また

　　　秘伝中の奥義は, 師匠から次代の伝承者にのみへ単伝が守られていたた

　　　めに, 闕阿水だけに伝えられることになった。このようにして闕阿水は, 若

　　　くして少林内勁一指禅の第十七代伝承者になったのである。



【闕阿水　環俗する】


　　　闕阿水はその後, 寺を離れて旅を始めた。２３歳のとき, 働き手が必要と

　　　なった家族に呼び戻されて環俗し, 1946年に上海に定住することとにな

　　　る。工員の仕事の傍ら, 練功も黙々淡々と続けていた。当時の中国は,

　　　病気をしても医者にかかれず, 薬も買えない人々がたくさんいた。そこで

　　　闕阿水は, そんな人にボランティアとして気功治療を施した。病人に気

　　　を放射すると, 数分後には痛みが消え, 苦しみから解放された。また, 多

　　　くの病院で不治の病と宣告された人も, 気功治療を繰り返し行うと, 奇跡

　　　のように健康を回復したのであった。その技の素晴らしさの故に, 闕阿水

　　　は気功神医と呼ばれるようになる。その後も, 病気で困っている人があれ

　　　ば、わけ隔てなく手を差し伸べ, 金品は決して受け取ることはなかったの

　　　である。



【闕阿水　弟子を育てる】


　　　やがて噂が噂を呼び, 大勢の病人が中国全土から闕阿水のもとへと殺

　　　到した。このままでは手におえないと, 闕阿水は弟子入りを求める多くの

　　　希望者から, わずか数人を選んで弟子入りを許した。そして, 厳しいけれ

　　　ど心のこもった指導をした。闕阿水が, 生涯を通じて奥義を伝授した弟子

　　　は, 以下の二十数名であった。黄仁忠、王瑞亭, 胡吉甫、劉茂林、姜廟

　　　桃、張金発、蔡秋白をはじめ, 林厚省、王忠良、徐鶴年、楊春発、黄恵

　　　賓、張金華、李培海、李関英、王正、陳守, などである。このとき, 少林

　　　内勁一指禅の単伝の戒律（伝承者から次代を担う唯一の伝承者へ）を

　　　闕阿水は, 自ら破ったのである。もはや時代は, 一指禅功が禅院の中だ

　　　けの「秘術」であることを許さなくなっていた。一指禅功は, 中国国民の

　　　貴重な伝統的な遺産であると共に, 人類共通の「生命の宝」へと, 闕阿

　　　水はその第一歩を踏み出した。一指禅功の新時代の第二幕の始まりで

　　　ある。



【一指禅功　中国の代表的な流派として認知】


　　　中国全土を長く混乱に陥れていた文化大革命が1976年に終結し, 社会

　　　が秩序を回復し始めた1979年７月に, 中華全国中医学会が「全国気功

　　　研究報告会」を開催した。 これを契機に, 戦後２度目の気功ブームがお

　　　こることになる。1980年６月, 闕阿水老師は「上海中医学院中医研究所」

　　　に招かれ, 息子の闕巧根と共に, 科学者である林雅谷先生や沈漢昌先

　　　生の下で, 気功の科学的な実験に参加した。その結果として「外気」が

　　　空間中を伝播することや, 「外気」に物質性があることが証明された。この

　　　成果をまとめた科学的な論文が「自然雑誌」「気功雑誌」「新医学雑誌」

　　　に掲載され, そして「中国百科全書」の中にも記載された。1981年６月,

　　　闕阿水老師は上海市揚浦区体育場の招きを受けて, はじめて内勁一指

　　　禅の公開指導を行った。1982年４月には, 中国国家体育委員会は, 闕

　　　阿水老師の練功と指導の様子を撮影した。その映像は国家の幹部に送

　　　られ, ここに名実共に中国を代表する流派の一つとして「少林内勁一指

　　　禅」が認知されたのである。



【闕阿水老師の突然の死】


　　　1982年に「少林内勁一指禅」が, 代表的な流派の一つとして国家に認知

　　　され, 上海から各省市に除々に広がりはじめた矢先に, 闕阿水老師は突

　　　然脳溢血で倒れた。 ６月12日, 午前中に脳溢血を発病し, その日の夜

　　　11時に他界した。老師は, 十数年前に落ちてきた石板を頭に受けて重症

　　　を負ったことがあり, その後遺症によるものではなかったかということであっ

　　　た。その訃報を聞いて, 私の師匠もがっくりと肩を落としていたのを昨日の

　　　ように覚えている。闕阿水老師は, 多くの弟子たちに少林北寺以来の優

　　　れた「技」を伝えてきた。しかし, 突然の死によって, 部分的な功法と, 「椿

　　　法」（立つ姿勢）しか残されていないものもあり, また完全に失われてしま

　　　ったものもあった。闕阿水老師の逝去は, 気功界において重大な損失で

　　　あったのである。しかし, 「闕阿水老師」は, 不幸にも他界されてしまった

　　　が, これらの弟子や孫弟子たちによって, 中国本土だけでなく, アメリカや

　　　ヨーロッパをはじめ, 日本やアジアと全世界に広まり, 一指禅功の愛好者

　　　は数百万人に及んでいる。
　　

　　　
　　　＊＊ 会員からのメッセージ ＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊


『花粉症が改善される』(東京　鼻の女子大生♀)

　　　『 「花粉症防治法」を送っていただき, ありがとうございました。３年前
　　　の春先に突然, くしゃみと鼻水が出始め, 他人事と思っていた「花粉
　　　症」にとうとう罹ってしまいました。この時期にはいつも, テッシュペー
　　　パーが手離せず, ほとほと困っていました。今回, 送っていただいた
　　　「花粉症防治法」を, 駄目で元々と試してみました(失礼)。やってみ
　　　てしばらくすると, 鼻が通るのを感じました。もしかして効果があるか
　　　もしれないと, 毎日朝晩二回続けてみました。驚くことに, 効果が出
　　　ました。ぴたりというわけではないですが, くしゃみと鼻水がかなり止
　　　まりました。今年は花粉の量が少ないせいかも知れませんが, 私的
　　　には効果が実感できました。来年も試してみて, 結果を報告したい
　　　と思います。』

　　　
　　　『マイペースで練功を』(博多　自然体♂)

　　　『前回のメーッゼジで, 東京・新人さんの「馬歩椿は結構つらいです」と
　　　ありましたが, 私の３年間の経験では, 馬歩椿の姿勢は, 誰でも最初は
　　　辛いと思いますが, 慣れるとそれほどでもないと感じています。外気功
　　　では, 羅漢椿という独特の立ち方があり, 馬歩椿に慣れて安心している
　　　と, またも大きな山が立ちふさがります。これも最初は大変辛いおもいを
　　　しましたが, やはり慣れです。練功を続けているうちに, 自然に脚の筋
　　　肉が鍛えられてきます。一指禅功は, 自分の練功の目的に合わせて,
　　　腰の高さを選べばいいわけですから, これからもマイペースでやりたい
　　　と思います。』



　　　＊＊ 購読者コーナ ＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊


　　□　質問 「丹田とは何ですか」□

　　　『丹田という言葉をよく耳にしますが, 丹田とはどういう意味ですか。また
　　　流派によって丹田の位置が違うのですが, どうしてなのでしょうか。一指
　　　禅功では, 丹田をどのように捉えているのですか, お教えて下さい。』
　　　（大分　ペペ♀）


　　　■　答え　■

　　　『丹田の「丹」は, 内丹や外丹と呼ばれるように, エネルギーないしは薬を
　　　指し, 「田」はエネルギーないしは薬を作る場を意味しています。これを気
　　　功的に翻訳すると, 丹田とはエネルギーが作られ, かつ蓄えられている
　　　身体の部位を指します。一般的には丹田の位置は, へそ下1.5寸の下丹
　　　田(気海穴), 胸の中央の中丹田(?中穴), 眉間中央の上丹田(印堂穴)の
　　　三つです。この中で特に重要なのが下丹田で, 丹田を意守すると云えば
　　　下丹田のことを指しています。一指禅功の場合には, 丹田という言葉を使
　　　うことはありませんし, 練功中に丹田を意識することもほとんどありません。
　　　自然体なのです。』



　※気功やこのメルマガの内容に関して, ご意見やご質問がありましたら, 是非
　　　
お寄せ下さい。お待ちしています。
　　　
　　　 Email aam13920@nyc.odn.ne.jp 　編集 　正田　竜二
　　

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