並木克敏(天地一道)著

「バーチャル気功空間 気の世界」

2001.05.05 創刊







第七章 一指禅功の基礎知識
   




(07-02)一指禅功の歴史(その一)


インド禅僧・達磨大師の創成



2006年02月27日 (No.78号)




 【 気功の始まり 約五千年前の遺物 】


   
一指禅功の歴史を語る前に, 流派を超えて古代の中国人が編み出した気功

   術は, 現在どの時代までさかのぼって, その存在が明らかになっいるのか, ご

   く簡単に触れてみたい。そのことによって, 一指禅功の位置が明らかになると

   思うからである。一般史でも同じことなのであるが, ある事物の存在を証明す

   るものに, 第一級の資料としては「古文書」があり, 次に宮殿跡などの「遺跡」

   や, 銅鐸などの「遺物」がある。古文書に書かれた記述を, 遺跡や遺物などで

   裏づけをとりながら, その存在を証明していくのである。さて, 気功の存在を証

   明するものとして, どんな時代にどんなものが発見されているのだろうか。現

   在まで発見された有力な資料は二つある。一つは, 「行気玉佩銘」(ぎょうきぎ

   ょくはいめい)に書かれた呼吸鍛錬法の記述であり, もう一つは, 「舞蹈紋

   彩陶盆」(ぶとうもんさいとうぼん)に描かれた舞の「絵」である。「行気玉佩銘」

   は, 気功の存在が確実に証明される最古の活字資料で, 装飾佩帯玉器の十

   二面に45文字の銘文が彫られ, 呼吸の鍛錬法を説いている。時代は, 戦国

   時代初期, 紀元前470年頃のものであり, 今から約2000年前に相当する。中

   国での文字の使用は,殷代後期の紀元前1300年頃の甲骨文字をもって初

   めとされているので,これ以上古い時代の気功に関する活字資料は,今のと

   ころ期待はできない。他方, 「舞蹈紋彩陶盆」は, 器盆の表面に,お下げ髪の

   ような,リボンのような物を付けた五人の踊り子が,互いに手と手をつないで

   踊っているような動作が描かれている。この舞は, 識者によれば気功の鍛錬

   の様子を表しているとされる。時代は新石器時代晩期, 紀元前2000〜3000

   年頃であり, 今から4000〜5000年前のことである。




【 創始者「達磨大師」: 嵩山少林寺



   気功の存在が確実に証明される, 最古の活字資料である「行気玉佩銘」から,

   約1000年後の北魏と宋の南北朝対立の時代に, 嵩山(すうざん)少林寺で一

   指禅功は創出された。読者の方はすでにご存知だと思うが, 中国には同じ根

   っこをもち, 枝分かれした禅宗系の通称, 北少林寺と南少林寺と呼ばれてい

   る二寺がある。北少林寺は, 古都西安の東にあたる河南省登封市(トンフォン)

   に位置する「嵩山少林寺」である。それに対して南少林寺は, 嵩山少林寺の

   僧侶が, のちに福建省泉州市に移り, 新たに創建した「東禅少林寺」である。

   一指禅功の源流は, 古刹の嵩山少林寺にある。インド仏教の二十八代伝承

   者で, 禅宗の開祖でもある「達磨(ダルマ)大師」は, 紀元527年, 河南にある

   創設したばかりの嵩山少林寺を訪れ「楞伽経」4巻を伝えた。そのとき同時に

   「達磨」は, 少林寺の僧侶「慧可(えか)」を弟子にして, 禅の特殊な修行方法

   を伝授した。達磨は, 嵩山少林寺に定住し、九年間の面壁(めんぺき)座禅

   を続け, 「易筋経」と「洗髄経」を著わした。そのうち「洗髄経」は, 気功各流派

   の共有財産である「自己保健法」の原書に相当するもので, 気功の入門書な

   どで紹介されている自己保健法ほどスマートではなく, 動作などに古代人の

   原始性がかなり残されている。なお, 面壁座禅とあるのは, 一般に「閉関」と呼

   ばれ, 外界から離れて静かに「己」と向き合う, 古代では7週の49日間の修行

   のことである。



【 嵩山少林寺から東禅少林寺へ 】


   その後「慧可」は, この禅の修業方法と中国の武術とを融合させ, 一指禅功を

   創り上げ, 初代の伝承者になった。一指禅功はそれ以来, 少林寺の寺院内

   だけで, 門外不出の秘伝として高僧から修行僧へと内々に伝えられてきた。

   そのなかでも秘伝中の「奥義」は, その時代の伝承者から, 次代を担うただ

   一人の伝承者にのみ「単伝」として継承されてきた。一指禅功の「奥義」を極

   めているのは, この世でただ一人という世界が, これ以降千五百年続くことに

   なる。それから百年余過ぎた唐代の661年頃, 嵩山少林寺の僧侶「智空」は,

   福建省の清源山の麓に東禅少林寺を建立した。最近発見された「東禅少林

   寺」に関する文献によれば, 高さ10メートルの塀で囲われた院内には, 門や

   建物が13棟立ち並び, 本堂の中には, 創始者の達磨大師や北少林寺の13

   人の武僧, そして十六羅漢が祭られていた。院内には千人の寺僧が寝起き

   を共にし, 畑仕事などの役割分担をしながら, 自給自足の生活をしていた云

   われる。また少林寺は, 「少林寺拳法」の発祥したところでもあり, , 仏門に入

   っても少林寺の僧侶は, 武術の鍛錬を欠かすこともなく, 僧侶全員が実際に
 
   闘う武術者でもあった。このような環境の中で, 武術の「少林寺拳法」と, 医

   療気功の「一指禅功」は, 長い時間をかけて育まれてきたのである。



【 東禅少林寺の崩壊 】


一指禅功は, このような環境のなかで育まれ発展してきた。しかし, 東禅少林

   寺の初代伝承者である「智空」から, 第七代目の「至善」禅師のとき不幸が訪

   れた。明朝末期に東禅少林寺は, 明朝に味方し, 清朝と敵対した。最終的に

   清朝が勝利し, その乾隆帝によって東禅少林寺の焼き払いの勅書が出され

   た。1763年, 東禅少林寺に火が放たれ炎上し, そして破壊尽くされた。その

   ために, 少林寺の僧侶は全国へ散って行ったのである。しかしながら, 一指

   禅功が禅宗の世界の中に封印されて, 一般人との接触を断ったままでは,禅

   宗の僧侶しか体験することはできない。一般の人が近づけるようになるには,

   まず一指禅功が禅宗の世界から解き放なされる必要があった。キリスト教の

   修道士が修道院から出て,世界各地で布教活動をしたように,禅院を飛び出

   した僧侶が,一指禅功の普及に努めたのであろうか。いやそうではなかった。

   それは,毛沢東の率いる紅軍による中国革命の成功によって外からもたらさ

   れたのである。当時の社会主義思想からすれば,「宗教はアヘン」に等しく

   害あるものとされ,革命政府は宗教を禁止し,廃寺政策をとった。その結果,

   すべての僧侶は寺を捨て,普通の人々の生活に戻るために「還俗」すること

   になる。それらの人々の中に,一指禅功の新しい時代を担う第十七代伝承

   者の若き指導者「闕阿水」がいた。ここからが, 一指禅功の新しい時代の始

   まりである。


   
   ** 会員からのメッセージ ***********************


 『仏光功は快い』(MSさん♂)

   『前回の螺旋功から功法が難しくなったと感じておりますが、最近は羅漢椿
   の姿勢にもなれ、幾分やり易くなりました。仏光功を夜に野外で行なうと、頭
   頂に満月の光を受けているような気分になり、とて も快いです。実際に光が
   見えるわけではなく感覚的なもので、また屋内で行なうとその感じはないの
   で、気のせいかもしれませんが。』


『身体に変化が現れる』(富山 NRさん♂)

   『いつもお世話になりありがとうございます。立禅は、いまではすっかり生
   活の一部となり、入門以来一日も欠かしていません。立禅との因果関係
   は定かではありませんが、この間、体にいくつか変化が見られました。一
   つは体重の増加です。6月より7kg程増加しました。(食欲はそれほど変
   わりません)また、乾燥肌でかさかさだったものが、改善しました。三つ目
   は、血圧の上昇です。今まではどちらかというと低血圧の部類でしたが、
   今は標準です。全体的に、かさかさで顔色が悪く元気無げだったものが
   堂々、がっちり、元気、という感じです。風邪も引きません。これらは、他
   の生徒さんの中にも見られる変化なのでしょうか。特に体重や血圧との
   因果関係はあるのでしょうか?お教えください。お願いいたします。』


    『金属アレルギーが完治』(北海道 OSさん♂)

    『ご無沙汰しておりましたが、毎日欠かさず練功しています。今年は全
   国的に寒い冬となっておりますが、当地もとても寒くて 連日の最低気温
   が氷点下二桁の日々となっています。最近も朝の通勤時に−21.6℃と
   いう日がありましたが、毎日自転車で走っています。ほんとうに寒さには
   強くなりました。インフルエンザが流行っていますが、風邪一つひきませ
   ん。最近の顕著な変化は、長年患っていた金属アレルギーが完治した
   ことです。素肌に金属が触れるとその部分がアトピーみたいになって酷
   かったのですが。病院へ通っている訳でもなく薬を塗っている訳でもな
   く、完全に放置状態だったので これが治ったのも気功のおかげ以外に
   考えられません。ぎっくり腰の再発も無く、起床の時に腰が張ってアブナ
   イ状態になっても朝の練功後には腰の張りも鈍痛も消えて快調に一日
   を過ごせます。これも気功のおかげです。いつもバーチャル気功道場に
   は感謝しています、ありがとうございます。これからの外気功上級も、ご
   指導をよろしくお願い致します。』




   
** 購読者コーナ ***************************


  
 □ 質問 「虚弱体質なのですが」□   
   
   『貴倶楽部のメールマガジンを読ませていただいています。私は虚弱体質で
   すが, 一指禅功を練習できるでしょうか。メルマガを読んでいると, 外気功の
   話ががあちこちに出てきて, 私には縁がないようにも思えてきます。虚弱体
   質を治したいのですが, いかがなものでしようか。』(静岡 主婦♀)


   ■ 答え ■
   
   『一指禅功は, 気功師を養成する気功ですが, それだけに病気回復への
   効果も高いと云えます。一指禅功の姿勢は, 馬歩椿を基本としています
   が, 体力のある人と体力のない人の個人差は, 膝を曲げる角度で調整す
   ることができます。体力のある人は, 膝を大きく曲げて腰を低くし, 体力の
   ない人は, 膝を少しだけ曲げて腰を高くすればいいのです。虚弱体質の
   方でも立つだけなら大丈夫かと思います。』




 ※気功やこのメルマガの内容に関して, ご意見やご質問がありましたら, 是非
   
お寄せ下さい。お待ちしています。
   
    Email aam13920@nyc.odn.ne.jp  編集  正田 竜二
  



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【バーチャル気功空間 気の世界】月刊
                                   
   発行元: 日本気功倶楽部

監 修: 天地 一道

編 集: 正田 竜二


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