2001.05.05　創刊

　　
　　　
(03-10) 気場の応用（その二）

視覚と聴覚で殺気を感ずる(Ｎo.38)
　　　
2002.12.14
　　　


　　　【五感の主役　視覚と聴覚】　　　
　　　
　　　
　　　離れた相手の気配を「触覚」で感じるとは, 一体どういうことなのか, と読者

は奇異に感じていることと思う。「触覚」とは「味覚」と同様に, 触れてみな

　　　ければどのような物なのか, 決して了解できないからである。それでも触覚と

　　　しか, 私には言いようがないのである。

　　　人間が, 物体, 音, 気配, 臭い, 味, 肌触りなど, もろもろの外部世界を認識

　　　するためには, 情報のセンサーとしての視覚, 聴覚, 嗅覚, 触覚, 味覚の五感

　　　を通して行われる。そのうち, 自分と離れた物体や気配を察知するために, ほ

　　　とんどの人が五感のうち「視覚と聴覚」に依存している。夜中に真っ暗な台所

　　　の方から聞こえるコトリという小さな物音, 夜道を歩く前方に見え隠れしなが

　　　ら路地に消える怪しい物影。聴覚や視覚を通じて, 誰もがこんな怖い経験をし

　　　たことがあろう。「見ること」「聞くこと」が五感の主役であり, 気配の正体

　　　を知るために, 古人は「目を凝らし」「耳をそばだて」てきたのでのである。

　　　そして逆に, この視覚と聴覚を通して, 人が外部に向かって表現を試みたとき

　　　「美術」と「音楽」という伝統的な芸術が誕生したのである。とすると, やは

　　　り気配や殺気を感じるセンサーは, 視覚や聴覚であらねばならないのか。私た

　　　ちの身近に存在するものから, もう一度聴覚と視覚について考えてみたい。



　　　【三毛ネコの寝床】　　　　
　　　
　　　
　　　身近なもので優れた聴覚の持ち主といえば, イヌやネコということになろう。

　　　一年ほど前から私の家に, 断りも無く大きな三毛ネコが住みついてしまった。

　　　最初のうちは, お腹が減るときにだけ現われていたが, 居心地が良いとみえて

　　　だんだん居着くようになり, しまいには我が家は, 三毛ネコの寝床になってし

　　　まった。夜行性とはいえ, このデブの三毛ネコは昼間は寝てばかりだ。食べて

　　　いるときと, 寝ているとき以外は, 「家」にはいない。「イエ」とは, 古事記

　　　では「寝戸(イヘ)」と書かれているが, まさにネコにとっても「寝る場」なの

　　　である。「寝る場」ということは, 用心深いネコにとって「心を許せる」唯一

　　　の空間を獲得したことになる。そして, 居場所を決めそこに住みついたとき,

　　　原始の人間と同様にネコも, 自己の世界観を築き上げるための出発点を手に入

　　　れたのではなかろうか。住み慣れてくるとやがて, 家は「内部」であり, 壁一

　　　つ隔てたむこうの世界は「外部」であるという価値が芽生えてくるように見え

　　　る。したがって, 雄ネコなどの敵が闊歩する外部の気配に対しては, きわめて

　　　敏感であり, 警戒心が強くなる。我が家を寝床にし始めた頃, 床に物を落とす

　　　とギックとして飛び起きた。この三毛ネコはまだ, 我が家を「内部」だとは認

　　　めていなかったのであろう。それも自分に害を及ぼすものではないと判ると,

　　　多少の音では反応しなくなる。耳さえ動かさない。そうなると, 内部の音と外

　　　部の音, 無害の音と敵の音を敏感に聞き分けるようになる。



　　　【ネコと聴覚】


　　　我が家は, ネコの通りの交差点になっているので, 見知らぬネコが塀の上をの

　　　そりのそりと横切って行く。ときには, 屋根の上に登り, 日なたぼっこをきめ

　　　こむ輩もいる。家に住みついた三毛ネコは, 屋根の上で発するコトリという小

　　　さな音も見逃さない。私には, 小枝が落ちた音と判別できないけれど, 三毛ネ

　　　コには分かるらしい。瞳孔が開き, 耳をそばだて, 音の方向に向かって全神経

　　　を集中させる。この緊張の一瞬は, イヌにはない真にせまった迫力があり, 美

　　　しいとさえ感じられる。三毛ネコの体内では, 交感神経がフル回転して, 心拍

　　　数を早め, 血圧を上昇させて, 攻撃に備えているのであろう。また, テレビの

　　　中のネコの鳴き声は, 擬音なのかまったく反応しない。人は生命の進歩の過程

　　　で, 動物脳の上に大脳, そして大脳新皮質を重ね載せるようにして, 脳を極度

　　　に発達させた。その代わりに, 人間は五感を著しく退化させてきたといえそう

　　　である。現代人の退化の現象は, 五感ばかりでなく, 身体のあちこちで今も進

　　　行中である。



　　　【「千里耳」も可能】

　　　
　　　気功は, 健康を維持させ病気を回復させると共に, 五感を鋭敏にさせる働きも

　　　ある。馬歩椿の姿勢をとり始めるとると, 身体の周囲に気場ができるだけでな

　　　く, 視力が改善され, 嗅覚も鋭くなる。聴覚も同様に鋭さを増し, 今まで聞こ

　　　えていなかった遠くで走る電車のゴウーという音が, 耳に飛び込んでくる。と

　　　きには, 内容は分からないけれど, 近所の人の話し声が妙にリアルに聞こえて

　　　くることもある。私の場合, 子供の頃にたびたび内耳炎を患ったので, 耳の感

　　　度はあんまりかんばしくない。練功が終わると元に戻ってしまい, 耳のレベル

　　　アッブはできていない。けれども, 耳の感度の優れた人であれば, 千里眼なら

　　　ぬ「千里耳」も可能だという。ネコやイヌの耳の感度が, トレーニングするこ

　　　とで人間にも獲得できるのである。同様にまた「千里眼」も可能である。それ

　　　は, 脳の発達過程から見ても不思議ではない。魚の脳でさえ, 人間の脳の中に

　　　しっかりと組み込まれているからである。脳については, 「気と科学」の章で

　　　触れたいと思う。とはいえ, 研ぎ澄まされた聴覚や視覚を持ち合わせた人であ

　　　れば, 耳や目で気配や殺気を察知することはできるということになる。しかし

　　　ながら, 殺気を感じる五感は, 耳や目だけではない。「触覚」も重要な役割を

　　　担っていることは間違いない。
　　　
　　

＊＊ 会員からのメッセージ ＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊


『中国研修旅行に行って』（ＴＥさん♀）
　　　
　　　『いつもお世話になります。新しい功法をお送りくださり有難うございます。
　　　風邪が即座に治る病気排除法と知ってとてもわくわくしています。
　　　先日, 中国研修旅行に行ってきました。今回の中国ですが、北京の中心地にあ
る大学の留学生寮に滞在したのですが、まわりの古い建物をがんがん壊してい
　　　るので、常に大気中にチリが混ざっていて空気が良くないのです。とても、屋
　　　外で気功の練習をする気にはなれず部屋で気功をしていました。１０月中旬に
　　　非常に寒くなり留学生はほとんど風邪をひいてしまいました。私も風邪をひい
　　　て鼻水が止まらずたいへんでしたが、あまりひどくならなかったのは、普段か
　　　ら気功をしていたお陰だと思います。そうでなければ、外は０度なのに暖房も
　　　なく過ごすのは、まず無理でした。私が帰国する３日前から暖房が入りました
　　　が、暖かくなっても乾燥がひどくなるのでやはりたいへんだそうです。
　　　ところで、昨日のことですが気功練功中に突然鼻の穴の奥が動く感じがしてび
　　　っくりしました。なんて表現したらよいのでしょうか、言葉で上手に表現でき
　　　ないのですが今まではありませんでした。これからもがんばりますので、よろ
　　　しくお願いいたします。』
　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　
　　＊＊ 購読者コーナ ＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
　
　　　　　　
□　質問　□　『整体師を目指したいが』（ＭＳさん）

　　　『こんにちは。先日道場案内を送ってもらった者です。その節はありがとうござ
　　　いました。さて、質問があります。私は、将来中国気功を使うかどうかはまだわ
　　　かりませんが整体師を目指そうかと考えている35歳です。まだ具体的に勉強をし
　　　ているわけではありませんが、気功を使うものにするか、また気功を使うものと
　　　したらどの流派（？）にしたらよいか等検討中です。また、私は太極拳を趣味に
　　　しており、これからももっと本格的に続けていきたいと思っており、できれば指
　　　導者になりたいと思っています。太極拳は気功とは、練功等、通じるものがある
　　　と思いますが、バーチャル気功道場の勉強と一緒にして弊害等はありませんか？
　　　また、独立開業の仕事として、貴殿のバーチャル気功道場は活用できるものなの
　　　でしょうか？　気功師になれたとしたら、どんな仕事をすることになるのでしょ
　　　うか？　失礼かもしれませんが、現代社会で気功というものがそれほど認められ
　　　ていない世の中で、気功師と呼ばれる方が実際にどんなことを仕事にして生活さ
　　　れているのか教えていただければと思います。不躾な質問ですが、ご回答の程、
　　　どうぞよろくお願い申し上げます。』


　　　　　　□　答え　□　　　
　　　　　
　　　ＭＳさんは, 気功を職業として考えられているようなので, その辺の事情を少し
　　　だけ話したいと思います。気功を学ぶ方の中には, 気功治療を専門に独立開業す
　　　る人もいます。しかし多くは, すでに鍼灸師やマッサージ師や整体師の職業に従
　　　事し, ステップアップとして気功を学んでいるようです。現在日本には西洋医学
　　　以外にも, いろいろな治療方法がありますが, それ一つだけですべて完璧という
　　　ものは存在していません。それぞれに得て不得手があります。たとえば, 骨の歪
　　　みやずれを, 気功で治療することは難しいことで, それは整体師の得意分野です。
　　　逆に, 風邪や頭痛などの治療は整体師ではなく, 気功師の得意分野ということに
　　　なります。気功では癌治療も可能です。一つの治療法で限界を感じた方が, 気功
　　　を学んで守備範囲を広げようと考えているようです。その意味では, 整体を学び
　　　ながら, 同時に気功をトレーニングすることは, 人生の先取りということになり
　　　ます。バーチャル気功道場は, そんな方に相応しい存在と自負しています。また,
　　　太極拳と一緒に練習しても弊害はないかという質問ですが, 太極拳の場合は時間
　　　をずらせば問題はありません。

　　　　　

　　　※気功やこのメルマガの内容に関して, ご意見やご質問がありましたら, 是非
　　　
お寄せ下さい。お待ちしています。
　　　
　　　 Email aam13920@nyc.odn.ne.jp 編集 森澤陽子（准指導員）
　　


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　　　　　　　　【バーチャル気功空間　気の世界】隔週　　 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

　　　　発行元: 日本気功倶楽部
　　　監　修: 天地　一道
　　　編　集: 森澤　陽子

※「バーチャル気功空間　気の世界」に掲載された内容を無断で複写、転載、転送および引用することを禁止いたします。なお、お友達の方へ紹介の為の転送は大歓迎です。　　　　　　　　　　　

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